■出席者
ボクシング・マガジン編集部 本間暁
SPOAL 二宮寿朗
SPOAL 渋谷淳
マガジンならではの名物コーナーを振り返る
二宮 ボクシング・マガジン編集部の本間暁さんと語る「また会おうボクシング・マガジン」も今回が最終回です。もう少し中身の話をさせてください。しつこいですけど好きなコーナーがたくさんあったもので。
本間 うれしいな(笑)
二宮 編集後記が好きだったんですよ。あれはどういう思いで書いていたんですか?
本間 あれはもう、自分なんかが入るもっと前から人気コーナーです。長く編集室点描というタイトルでした。ようは編集後記なんですけど。
最終号には読者からたくさんの投稿が届いた
二宮 編集後記といっても独特でしたよね。編集部内のうちわ話をネタにしてるんですけど、編集者にしてメインライターの宮崎正博さんをいじるところが面白かった。
本間 ずっと基本的には編集長が書いてたコーナーなんですけど、どういうわけか「本間が書け」ということになって。自分はずっと宮崎さんのことをネタにしてました。
二宮 あれは面白かった。宮崎さんが掃除しないとか(笑)。
本間 宮崎さんって文章が美しいじゃないですか。ファンも多いんですよ。
渋谷 そうだよね。宮崎さんは独自の世界を確立していて、読んだら宮崎さんの文章だとすぐに分かる。まさに看板ライターだった。
二宮 宮崎さんの世界観、大好きだなあ。
本間 それで点描ではあえて宮崎さんのちょっとドジなところを書くんです。それが文章のイメージとのギャップになって受けたのかなと。ただ調子に乗っていじりすぎて本人から怒られたりもしてました(笑)。
二宮 これってすごくいい文化だと思いました。で、もう一つ、増田茂さんのイーグルアイなんですよ。ボクシングの技術とか試合展開をきっちり解説する。あの増田さんの視点が短い原稿の中でも独特というか、僕は必ず読んでましたね。
渋谷 増田さんの博識ぶりは驚異的だから。私はいまでも現場でよく教わってます。
本間 あれも名物コラムというか、マガジンならではだったと思います。宮崎さんが編集長になって長さを半分にしたんだけど、短くして一層読みやすくなったのかなと。
二宮 宮崎さんの叙情的な原稿と増田さんのクールな分析がセットになっていたところがよかったのかなと。いいコンビネーションでしたね。それが読めるマガジンがなくなるというのは返す返す残念です。
ボクシング・マガジンの名前を何らかの形で残したい!
本間 井上尚弥選手がこれだけ盛り上げて、来年には那須川天心選手も来る、人気抜群の武居由樹選手もいる。こういう状況で休刊というのはね。やっぱり残念です。
二宮 ボクシングが盛り下がっているときならまだ分かるけど、そうじゃないからちょっと不思議な感じはしました。
本間 でも残念ではあるけども、大好きなボクシング雑誌の編集を長くやらせてもらえたのは幸せだったと思ってます。
たそがれどきの水道橋で
渋谷 海外取材もけっこう行ったのでは?
本間 海外は宮崎さんが多かったけど、自分もプーンサワット・クラティンデーンジムvs.木村章司選手のタイ(2010年5月、WBAスーパーバンタム級戦)、佐藤洋太vs.シーサケット・ソールンビサイのタイ(2013年5月、WBCスーパーフライ級戦)、井上尚弥選手vs.エマヌエル・ロドリゲスの英グラスゴー(2019年5月、バンタム級2団体統一戦)は行きました。
渋谷 その3つだと勝ったのは井上選手だけか。グラスゴーは私も一緒だった。あれはいい思い出になったな。
本間 あ、もう一つ、三沢照夫選手の中国にも行った。WBC総会に合わせてのタイトルマッチ。ミニマム級の暫定王者フアン・パラシオスに挑戦したけど勝てなかった。
渋谷 ちょっと調べて見ると場所は中国の成都! あれを取材しているとはさすが本間ちゃんだ。
本間 いやいや、あやうく言い忘れるところだった(笑)。
渋谷 私もフランスのマルセイユとパリ、ドイツのデュッセルドルフ、ウクライナのリビウまで取材に行ってボクシング・マガジンにレポートを書きました。
二宮 けっこう行ってるね、すごいね。
渋谷 昔は今よりやる気に満ちていたということかな。もっとがんばらなくては!
二宮 思い出話にひたってしまいましたけど、ボクシング・マガジンもまだムックを出したり、ウェブが続いたりすることはあるんですよね。
本間 前にも言いましたけどウェブはリニューアルして内容を充実させて続けたい気持ちです。あとちょっと分からないけど『世界ボクシング パーフェクトガイド』は出すみたいな感じです。
渋谷 『パーフェクトガイド』はライターとしてもありがたい存在。それは一ついい話だね。
二宮 ぜひ今後もボクシング・マガジンの名前が世に残ることを期待しています!
本間 どこまでできるか分かりませんけどがんばります!
また会おう!ボクシングマガジン おわり