横浜を、新しい時代を照らす新生エクセレンス
朝から強い雨降りとなった7月1日、行ってきました横浜まで。この日、横浜開港記念会館で開かれた横浜エクセレンスの記者会見を取材するためです。そう、『自分だけの地図を描こう』で石田剛規ヘッドコーチ(HC)にインタビューをさせてもらったときはまだ「東京エクセレンス」だったのですが、ホームタウン移転に伴い、7月1日から晴れて「横浜エクセレンス」に名前が変わったのです。
会場にはテレビカメラを含めて30人ほどの取材陣がいたでしょうか。横浜市の林文子市長も出席し、B3チームの記者会見にしてはなかなかの盛況ぶりです。1週間ほど前に「取材案内」のメールが届き、2日前に念押しのメールがきたときには、「あら、出席者があまりいないのかしら?」と余計な心配をしたのですが、まったくの杞憂に終わった次第です。
こちらがブランドロゴマーク
この日の記者会見で発表されたのは、第一に横浜エクセレンスというチーム名であり、第二に新メンバーの顔ぶれでした。合わせて発表されたのがブランドロゴマークです。これがなかなかしゃれています。日本で初めて横浜の街を照らしたと伝えられるガス灯をモチーフにしたロゴで、配布された資料には「エクセレンスが歴史あるこの場所で新たな活力となり、人々を魅了し、たくさんの笑顔を灯していく」、「新しい時代を照らす、一筋の光となる」と書かれています。デザインには物語があるんです。
記者会見に出席して知ったことはそれだけではありません。横浜市、ひいては神奈川県がバスケットボールのかなり盛んな地域であることは、なんとなく分っていたつもりでしたが、あらためて説明を受けると軽い驚きがありました。
そもそも県内には川崎市をホームとするB1の川崎ブレイブサンダース、女子Wリーグの富士通レッドウェーブ、そして横浜市にB1のビー・コルセアーズがあります。なんとバスケのトップチームが既に3つもあるのです。さらに神奈川県のバスケットボール競技登録者数は全国トップの約4万人だとか。神奈川県の人口が東京都に次いで全国2位と考えればそれほど驚く話ではないのですが、多いことは間違いないでしょう。
さて、そんなバスケタウンを本拠地にするエクセレンスは横浜武道館というB2ライセンス取得の条件を満たす体育館をホームアリーナとし、B3優勝、そして2年ぶりとなるB2昇格を目指します。ホームアリーナとなる横浜武道館の向かいには、2024年に5000人収容の横浜ユナイテッドアリーナがオープンする予定です。そうです、ゆくゆくはB1に昇格してユナイテッドアリーナをホームアリーナに! 気の早い人はそんな夢も描いてしまうかもしれません。
中央の女性が林文子横浜市長
この日、チームからは向井昇代表、石田HC、そして7人の選手が記者会見に出席しました。石田HCは「プレシャーを楽しむような気持ちでチームを作っていきたい」と発言しましたが、チームのみんなが同じような気持ちでいるのではないでしょうか。他の選手からも「ワクワクしている」、「早く横浜武道館でプレーしたい」という頼もしい声が聞こえてきました。
さあ、夢に向かってまっしぐら――といきたいところですが、来季のB3はそんなに甘くありません。はっきり言うと“激アツ”の戦いが待っています。というのも新たに長崎ヴェルカ、アルティーリ千葉、山口ペイトリオッツ、SHINAGAWA CITY BASKETBALL CLUB(品川シティ)と4チームが新たにリーグに加わるのです!
別に新規参入チームなんてたいしたことないんじゃない?
と、思ったら大間違い! なにしろ長崎はあのジャパネット傘下のチームで、スタッフや施設のレベルは完全にB1のそれだとか。B1で活躍している選手の加入も発表されていて、エクセレンスにとってかなりの強敵になるのは間違いありません。千葉も同じように経営基盤がしっかりしており、この2チームはかなりの確率で優勝争いに絡むと予想されています。昨シーズン、惜しくも3位に終わったエクセレンスはうかうかできないどころか、むしろチャレンジャーの立場と言えそうなのです。
だからこそ燃えるのがスポーツ選手という人種なのでしょうか。記者会見が終わったあと、宮田諭キャプテンに話しかけてみると、「今シーズンのB3、めっちゃ面白いですよ!」と力もこもった言葉が返ってきました。Bリーグができる前、日本最高峰リーグだったJBLでプレーしていた43歳のベテランは早くも「ウズウズ」といったところでしょうか。
こうして記者会見とともにエクセレンスの2021-22シーズンは幕を開けました。ほどなくして日本人選手の陣容が固まり、さらにしばらくすると3人の外国籍選手の顔ぶれも決まるでしょう。開幕まではきっとあっという間。みなさん、ぜひとも激アツのB3、横浜武道館に足を運んでみてください!
2021年7月公開