勢力図が一変?
空には一部雲がかかっていますが青空が広範囲に覗け、ほぼ快晴と言って問題ないでしょう。2020年のF1の開幕戦、オーストリアグランプリは天候にも恵まれておりました。しかし、コロナの影響で無観客レースとなっており、毎年オランダ出身のフェルスタッペンを応援するオレンジ軍団で埋め尽くされる観客席なのですが誰もおらず、どこか寂しいレースでした。
F1の予選は脱落方式を採用していてQ1で20台中5台が脱落し15台がQ2に進みます。Q2では5台が脱落し、10台がQ3に進みます。Q3で残り10台の順位が決まるのです。Qとは「Qualifying(予選)」の頭文字をとったもの。予選を3段階に分けて決勝レースの順位決めを行います。今回、フェラーリの不調があちこちで騒がれていて、見事に予選結果に現れました。
フェラーリに乗るベッテルがなんとQ2で脱落しQ3に進めず、マシンの性能差が現れてしまった結果に。フェラーリにまたがるもう一人のシャルル・ルクレールはQ3に進んだものの、結果は7位。フェラーリの不調が目立つ結果となりました。安定のメルセデスはワンツーで、ボッタス、ハミルトンの順。続いてレッドブル・ホンダに跨るフェルスタッペン。続いてランド・ノリスが4位でマクラーレンの好調が目立ちます。ピンクメルセデスと呼ばれ2019年のメルセデスのシャシーを丸々コピーしたレーシングポイントに乗るペレスも6位と好調。2020年に勢力図が一変しそうな予選結果となりました。
棚からぼた餅
決勝レースは、荒れる展開でした。11周目でレッドブルのフェルスタッペンのエンジンがおかしくなってしまいスロー走行。そのままリタイアとなります。レーシングポイントのストロールにもパワーダウンが発生し後にリタイア。ルノーのリカルドもエンジンの調子が悪くなりリタイア。続々とリアイアが続く中、26周目でハースのマグヌッセンがコースアウト。1回目のセーフティーカーが導入。各車一斉にピットインをしタイヤ交換を済ませます。その後も2回のセーフティーカーが入り荒れた展開になりました。F1の開幕戦は荒れると評判なのですが3回もセーフティーカーが入るとは思いませんでした。
61周目再度レース再開。3位を走るレッドブルのアルボンが前を行くメルセデスのハミルトンに迫ります。3コーナーでぴったりと後ろに付くがまだ抜かせません。4コーナーで再度仕掛けます。ハミルトンがイン側、アルボンはアウト側。アルボンがアウト側からぐいっと抜かしましたが、ハミルトンが少々膨らんでしまいアルボンに接触。アルボンはスピンをしてしまい最後尾になってしまいます。
この接触で、ハミルトンに5秒のタイムペナルティ。ハミルトンが悪いとレース運営からの判定です。F1はバトルをする際に接触をしないよう1台分のスペースを空ける必要があるのですが、ハミルトンはそこを怠ってしまったという裁定です。そのままハミルトンは走り続け、2位フィニッシュをしましたが、5秒のタイムペナルティで最終順位は4位という結果に。
結局、蓋を開けてみればいつの間にか順位を上げていたフェラーリのルクレールが2位という結果になりました。遅い遅いと言われていたフェラーリでしたが3回のセーフティーカーに助けられた形です。そして、レッドブルのリタイアにも助けられ、表彰台にあがることができました。
棚からぼた餅とはこのこと。遅いマシンでも適切なタイミングでのピットインと、着実な走りをしたフェラーリ。こういった荒れたレースではマシン性能ではなくチームの戦略が重要になってきます。
第二戦 シュタイアーマルクGP
第二戦のシュタイアーマルクGPは第一戦の翌週に同じコースで行われました。
コロナの影響により、開催を辞退するグランプリが多数あり日本グランプリもその一つです。その為、開催ができるサーキット場にて2週連続で開催し、興行回数を可能な限り増やしてシーズンを進めていくというのが2020年のF1となります。
第一戦、第二戦ともに同じコースを走るので退屈かなと思いましたが、それが的中。先週に走りなれたドライバー達は綺麗にコースを走っていきます。チームも先週と同じミスを侵すまいと、慎重にドライバー達へ指示を出していきます。大きな波乱もなくレースが進行し圧倒的な力の差を見せつけメルセデスが優勝。1-2(ワンツー)フィニッシュを飾りました。レッドブルは一歩及ばす3-4位でフィニッシュ。2戦が終わった段階で大凡の勢力がわかってきました。
メルセデスの強さを10段階中10とした場合、レッドブルは8程度の強さではないかと思います。まだまだ、空力面などでレッドブルは苦戦を強いられており、メルセデスを倒すには少々時間がかかるかと思います。レッドブルに続くチームとしてはマクラーレン、レーシングポイントの2チームが強さ6~7の位置につけていると思います。マクラーレンに乗るランド・ノリスの速さが素晴らしく、今後F1界でも中心的な人物になってくるのではないかと思われます。続いて、強さ5程度の位置にフェラーリかなと思います。
昨シーズンのフェラーリの強さはどこにいってしまったのか?一説にはエンジンを不正にパワーアップしていたなどの噂もされておりましたが、他チームに指摘をされると不正ができなくなってしまい、昨シーズンの後半からフェラーリは失速してしまったのです。その尾を2020年も引きずっているような状況です。
F1はどこか一つのチームが強くなり一強時代を作る。
今はメルセデス。
過去にはベッテル時代のレッドブル。シューマッハ時代のフェラーリ。
そのもっと前にはアイルトン・セナ時代のマクラーレン・HONDA。
まだまだ、メルセデスを打ち破るチームは出てこないのではないでしょうか。
レッドブルのさらなる躍進、マクラーレンの復権に期待しております。
2020年8月掲載