F1 2021年シーズンが開幕しました。2021年の開幕戦はバーレーンGP。過去のF1開幕戦はメルボルン(オーストラリアGP)でスタートしていたので違和感を覚える方もいらっしゃるのではないかと思います。コロナの影響がここまで来てしまっているのですね。そのオーストラリアGPですが今年は11月に開催予定です。南半球ですので11月は初夏にあたります。初夏のオーストラリアGPはどのチームも経験はしたことがないのできっと面白いレースになることでしょう。2021年シーズンは日本GPもスケジュールに組まれているので是非、足を運んで観戦したいものです。
今年のF1は日本人からすると話題に事欠きません。なぜならばHONDAが今年で最後のシーズンとなります。昨今を取り巻く環境によりHONDAがF1から離脱してしまうのです。シーズン前合同テストでのHONDAエンジンは前評判が良く、メルセデスに対抗できるとも噂をされておりました。シャシー開発に定評のあるレッドブルF1チームとHONDAのタッグは要注目です。
もう一つ、日本人にとって一番うれしいこと。それはF1に日本人ドライバーが戻ってくることです。小林可夢偉選手がF1を離れてから7年。私はずっとF1を見続けてきましたがこの時を待っていました。ついに角田裕毅選手がF1デビューとなります。今F1界で一番注目をされている人物です。F1参戦前からも速いと定評だった角田選手がアルファタウリF1チームから参戦します。シーズン前合同テストでも2番手タイムを叩き出すなど、速さの片鱗を見せつける圧巻の走り。そしてなによりもアルファタウリF1チームはレッドブルの弟チーム。もちろんレッドブルと同じHONDAエンジンを使用。日本人にとっては、HONDAが最後の年、角田選手のスタートの年。ということで始まりと終わりが合わさったなんともメモリアルな2021年。こちらも要注目です。
今回の「モータースポーツに愛を込めて」は予選、決勝、角田選手にフィーチャーした記事をお届けします。
2021年シーズン F1始動
開幕戦のバーレーンは砂漠都市ですので砂嵐が有名です。その為、コース上に砂が舞い降りスリッピーなサーキットとして有名です。ですのでスリップをしないようにダウンフォース(車体を路面に向かって押し付ける力)を強めにしてグリップを大きく得なければなりません。ダウンフォースを大きく得ようとすると、コーナーは速く曲がることができますがストレートスピードは伸び悩んでしまいます。バーレーン・インターナショナル・サーキットは比較的長めのストレートが4本もあり高速サーキットの一つとして数えられています。つまり、ダウンフォースをたくさん得ようとするとグリップは良くなりコーナーは速くなるが、ストレートが4本もあるので全体的なタイムが遅くなってしまうというジレンマも。非常にマシンセットアップが重要なサーキットの一つです。
F1は金曜日にフリー走行と呼ばれるFP1、FP2(FP=Free Practiceの略)が行われ、土曜日にFP3と予選。日曜日に決勝レースが行われます。FP1~FP3を通して最速タイムを叩き出したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が存在感を見せつけます。2位とはコンマ3秒程のアドバンテージを得ており圧巻の走りでした。F1界でのコンマ3秒(0.3秒)は圧倒的です。たかが0.3秒??と思われる方もいらっしゃると思いますので解説をしますと、1周につき0.3秒速いということは決勝レースで50周近く走りますので15秒の差がついてしまいます。陸上競技でも15秒は相当な差。F1の世界では0.1秒を詰める為に開発に何十億円と掛けなければなりません。一方、角田選手に目を向けるとFP1~3での角田選手の最高位で7位でしたので、順当なすべりだしと言っても過言ではございません。
話を予選に進めましょう。F1の予選は少々複雑です。まず予選はQ1~Q3(Q=Qualifyの略)の3セッションに渡って行われます。現在のF1予選システムはノックアウト方式と呼ばれており、脱落者を決めていくシステムとなります。脱落といっても決勝レースに出られなくなる訳ではなく、遅い車からスタート順位が決定していくという方式となります。
Q1では20台全ての車が出走しまして予選タイムを競うこととなります。予選タイム16~20番手の車はQ2に進めず予選順位が決定してしまいます。Q2に残った15台はまた予選タイムを競い合い、11~15番手がふるいにかけられてしまいます。Q3は残った10台で1~10位の予選タイムを競い合うシステムとなります。
Q1トップはマックス・フェルスタッペンでレッドブルHONDAの好調さが伺えた予選でした。角田選手はQ1で2番手タイムを叩き出し圧巻の走りを見せつけますが、Q2では13番手。Q3に進めず決勝は13番手からレーススタートとなります。
角田選手はQ1で2番手を出したのに、Q2ではどうして13番手なの?と疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますので解説をいたしますと、F1の予選レギュレーション(ルール)では、「Q2でベストタイムを出したタイヤにてレースをスタートしなければならない」というレギュレーションが存在します。それとはまた別に、現代F1では「決勝レースで2つの異なるタイヤコンパンド(タイヤの硬さ)を2種以上使用しなければならない」というレギュレーションがあります。
タイヤコンパンドはレース毎にソフト、ミディアム、ハードと3つのタイヤが用意されておりソフトタイヤが一番速いタイムを出しやすいのですが、摩耗が激しくすぐにピットインをしてタイヤ交換をしなければなりません。逆にハードタイヤは長持ちするものの速いタイムを出し辛いという特色があります。ミディアムはその中間なのである程度のタイムは出しつつもソフトよりも長持ちという特色を持っています。
Q2はQ3に進む為に、ソフトタイヤで速いタイムを出しQ3を目指すのがいいのではないか?と思われますが、本戦をソフトタイヤでスタートしてしまうとすぐに摩耗をしてしまうので早めにピットインをしなくてはなりません。早めにピットインをしてしまうとレース序盤は団子状態ですのでペースが遅い車に付き合わなければならない可能性も出てきてしまいます。
そういったこともあり、Q2はミディアムタイヤでベストタイムを出しQ3へ進出できるのが一番のベストシナリオとなりますが角田選手はミディアムタイヤでは13番手が限界だったという予選結果になってしまったのです。
角田選手以外に目を向けるとQ3ではマックス・フェルスタッペンが圧巻の走りで一位。ポールポジションを獲得。二位はルイス・ハミルトンでタイム差はコンマ4秒。いかにフェルスタッペンが跨るレッドブルHONDAの調子が良いかがわかる予選結果でした。次いで三位はメルセデスのバルテリ・ボッタス。四位はフェラーリのシャルル・ルクレール。フェラーリの復調も垣間見られる予選結果になりましたが、ソフトタイヤでのスタート。角田選手もソフトタイヤスタートを選択して、是非Q3進出をして欲しかったものです。
角田選手の決勝結果は?好調フェルスタッペンは優勝できたのか?
決勝レースの模様は次回お届け!
2021年4月公開