みなさん、こんにちは。山中慎介です。
最終回の今回は、僕が語る番外編。ラーメンをいただきながら僕なりのラーメン哲学を少しお話できればと思います。
2018年3月26日に正式に現役引退を表明してから時間が経ちました。もうボクサーではありませんが、ロードワークは続けています。走ることは健康管理や体力増進につながるので、ずっと続けたいと思っています。それに走ると、気持ちいい汗をかくことができますから。
僕はラーメンが大好きです。
現役時代は試合の約1カ月前にストップするとか、試合後の一発目の食事をラーメンにするとか何だかんだラーメンと切り離せない生活を送ってきました。現役をやめたら思う存分……というわけではないんですが、定期的にいろんなラーメンを食べています。家族で行くことのほうが多いのですが、時間があるときは一人で食べることもあります。
きょうは取材と撮影を兼ねて南阿佐ヶ谷の青梅街道沿いにある麺処一笑(めんどころいっしょう)さんにやって来ました。
店主の金子哲也さんは、激辛つけ麺で有名な石神井公園の麺処井の庄さんで8年ほど修行され、練馬の濃菜麺 井の庄さんで店長を務められてきたそうです。
濃厚な豚骨スープのラーメンに、たっぷり入った野菜といろいろな味を楽しめるトッピングをチョイスする、ちょっと斬新なシステムなのです。
一笑さんとの出会いは、ロードワーク。いくつか走るコースがあるのですが、阿佐ヶ谷を走っているときに見つけて、何だか気になって、気になって。
気になるポイントは、ざっくり言うと店の雰囲気なんです。外からちょっとのぞいてみて、お客さんの食べている感じとか、活気ある店の感じとか。全然、説明になってないですよね(苦笑)。でも何となく、食べてみたいなって思ったら一度行くことにしています。そうやってリピーターになった店はいくつかあります。
昔はバリバリの、こってり派でした。濃厚豚骨スープは、まさに大好物。でも年齢を重ねていくと好みは変わっていくもの。最近は、あっさり系ばかりを選んで食べていました。野菜とあっさりスープのタンメンも大好きです。
なので「こってり系、俺、大丈夫かな」とは思ったのですが、トッピングで味を変えられる面白さに興味をそそられて食べてみたら、「またこの店に来たいな」と思ったんです。
食べ終わっても、こってり系なのに食後感が重くない。野菜の効果もあると思うんですけど、新鮮な豚の骨を砕いて豚の皮や背あぶら、豚足も入ってコラーゲンがたっぷりだとか。なるほど、女性にも人気な理由が分かる気がしますね。
初めて一笑に入ったときに店長である金子さんとも少しお話をすることができました。ボクシングが好きで、僕の試合もずっと見ていただいたとか。
「中太麺と野菜が入っても、それに負けないような豚骨スープをつくってみたかった」と金子さん。ロマンとかチャレンジというのは、ラーメンの世界でもボクシングの世界でも同じですね。そういったものが一杯のラーメンに詰まっていて、胸いっぱい、お腹いっぱいになりました。ごちそうさまでした!
実はラーメンほど、好みが分かれる食べ物はないんじゃないでしょうか?
あっさり系がいいという人もいれば、こってり系がいいという人も。そればかりじゃなく麺のこだわりとか、ここのチャーシューが好きとか、みなさん好きなポイントが全然違っていると思うんです。
だからラーメン好きを自任する僕としては、自分の好きなラーメンをほかの人に紹介しません。秘密にしたいとかではありませんよ。好きなポイントが違うので、自分の好きなラーメン=ほかの人も好き、とは限らないからです。
僕自身も知人から「美味しいから食べてみなよ」と勧められて、そのお店に行ったことはあります。確かに美味しいんだけどリピーターにならなかったりもする。結局は自分だけの好みの世界っていうのがあって、その感覚って自分にしか分からないんですよね。僕が言う「店の雰囲気」なんて、まさに僕の感覚であって、ほかの人からしたらまた違う雰囲気を求めているかもしれませんし。
百人百様、十人十色……。
だからこそラーメンの世界は面白いし、奥が深いし、そこに凄く魅力があると思うんです。
僕の好みも実はバラバラだったりします。自宅近くの中華料理屋さんのラーメンは家族で大好きだし、タンメンを食べるならここって決めている店もあります。あっさり系もこってり系も、結局は食べています。家族で一緒に食べて楽しいラーメンもあれば、一人でじっくり楽しみたいと思うラーメンもあります。雰囲気も、味も楽しめて、そこにお客さんたちが一杯のラーメンをおいしく食べている姿もいいですよね。
ロードワークしながら、気になる店を発見することが今の楽しみです。
これからもラーメンを食べ続けていきたいと思います!
僕とボクシングとラーメンと 終
2023年1月再公開