千葉県立佐倉高校は創立200年超えの名門校
“ミスタープロ野球”の長嶋茂雄さん、陸上マラソンの指導者としてその名を馳せた小出義雄さんの足跡に触れたあとは再び佐倉から電車に乗って…のはずだったけど、せっかく来たので千葉県立佐倉高校を表敬訪問。長嶋さんが学び、小出さんが教員として赴任した学校である。
京成佐倉駅から徒歩10分と書いてあったので軽い気持ちで足を伸ばしたのだが、これがけっこうな登り坂! 岩名運動公園からすでに25分歩いたあとにこの坂道はけっこうこたえる。ポロシャツは汗でぐしゃぐしゃになってしまった。
長嶋さんと小出さんが通った高校ということで気軽に選んだのだが、この学校はかなりの歴史があり、格式が高そうなムード…。調べてみると創立は寛政4年(1792年)、佐倉藩がつくった「学問所」を起源としており、これがのちに藩校となり、グググッと時代をへて現在の佐倉高になったのだとか。現在は記念館となっている旧本館は明治時代の貴重な洋風建築校舎であり、国の登録有形文化財に指定されている。それにしても創立219年とはすごすぎる。
江戸時代から脈々と続く歴史の重さに恐れをなした私は近藤カメラマンを急かし、まるで隠し撮りをするかのようにパシャッ、パシャッと正門だけを写して逃げるように京成佐倉駅に戻ったのだった。
Bリーグ千葉ジェッツの本拠地、船橋アリーナを表敬訪問
さて、佐倉をあとにして私たちは船橋アリーナに向かった。バスケットボールBリーグ、千葉ジェッツの本拠地である。京成佐倉から京成電鉄で勝田台、そこから東葉高速鉄道に乗り換えて4つ目の船橋日大前駅が船橋アリーナの最寄り駅である。駅からアリーナまでは徒歩10分弱といったところ。歩いていると佐倉と違って住宅が密集しているイメージを抱く。いや、佐倉の街並みが実に広々としていたことにあらためて気がついた。
さて、千葉ジェッツは2020-21シーズン、プレーオフ決勝進出3度目にして初のBリーグ優勝という栄冠に輝いた。ちなみにジェッツとは空港(成田)とジェット機に由来するのだという(チーム発足当初は千葉県全体をホームタウンとした)。アメリカンフットボールNFLのニューヨークジェッツも同じ理由なのだとか。
チーム一丸となって優勝を勝ち得た千葉ジェッツだが、立役者の一人が日本代表として東京オリンピックへの出場も決まった富樫勇樹選手だ。身長は167センチというから私とほぼ同じ! このサイズで2メートル級がズラリと並ぶBリーグでプレーし、かつトップの活躍をしてしまうのだから驚く以外にない。
富樫選手をインタビューしたことはないのだが、彼が新潟・本丸中時代に出場していた岐阜での大会を取材したことがある。バスケットボール雑誌の編集者が「あの子がすごいんですよ」と教えてくれたのが富樫選手。他の選手と比べてもひときわ小さい体格ながら、キビキビした動きと華麗なフェイントで周りを翻弄していたプレーはいまと変わらない。
当時、お父さんの英樹さんは本丸中の顧問で、富樫選手が3年生のときに父子で全国大会優勝を成し遂げている。英樹さんはアンダーカテゴリーの日本代表コーチを務めたこともあり、こちらは2度ほど取材をさせてもらったことがある。もう、10年以上前の話だ。いや、サービス精神旺盛ないい先生でした。
なんて自分のヒストリーをぶわーっと思い出しながら船橋アリーナを歩いた。そろそろ引き上げようかと思ったら、アリーナの中に展示コーナーがあるではないか。看板には「吉澤野球博物館資料展示室」とある。こちらは吉澤さんという野球に関する資料を収集していた方が独自に資料館を開いていたのだが、そこが閉鎖されることになり、大量の資料を船橋市に寄付。その一部が2017年、船橋アリーナに展示されることになったという。
ほかにも「船橋ゆかりのスポーツ資料」、「千葉ジェッツコーナー」、ラグビートップリーグの「クボタスピアーズコーナー」というブースがあった。さすがスポーツ健康都市を宣言している船橋市だ。同市のスポーツ有名チームといえばジェッツ、スピアーズの前からその名を全国にとどろかせているのが船橋市立船橋高、通称“イチフナ”だろう。ちなみに今回、何度も登場した小出さんは市船で教員をしていた時代もあり、そのときの在籍していたのがのちのソウル五輪競泳金メダリスト、昨年までスポーツ庁長官を務めて鈴木大地さんだった。
由緒正しいこのアリーナも、23年以降はすこし寂しくなりそうだ。千葉ジェッツが船橋市内の別の場所に1万人規模の新アリーナを建設し、新たにそこをホームアリーナにするのだという。新しくてきれいなでっかい体育館ができてしまったらどうしようもない。チームのさらなる発展を考えれば仕方のないことだ。体育館を眺めながら船橋アリーナが今後も地元の市民から末永く愛されることを願った。
さあ、そろそろ帰ることにしよう。この日、自宅にたどりついてスマホが示した歩数は1万9799歩。「しぶさんぽ」史上最高歩数をわずかに更新したことをお知らせしておこう(これまでの記録は横浜を歩いたseason5の1万9632歩)。いやはや、千葉は広いのである。
2021年7月公開