———オリンピックの話で盛り上がりましたが、今度は「それから」の話を聞かせてください。オリンピックで大きな注目を集めたスケートボードでしたが、ショップとしてはその後どのような変化を感じましたか?
やっぱりオリンピックが始まってからお客様は増えました。特に小さなお子さんがお母さんとやってくることが多いです。吉祥寺って今まではそんなことなかったんですが、小学校低学年くらいの子がたくさん来てくれるようになりました。「オリンピックを観てスケボーをやりたいんです」というケースが本当に増えましたね。
———そうなんですね!やはりスケボーって怪我も多いですし、親からしたら危ないという印象を持ってそうだったので驚きました。
そうですね。スケボーのそうしたイメージが、オリンピックを通じていい意味で変わっていったんじゃないかなと思っています。
———盛り上がりがそのまま競技をはじめるきっかけになっているのは素敵なことですね。ちょうど先日代官山T-SITEに期間限定でオープンしたNIKE SBの「SANDY HOUSE」にも行ってきましたが、本当にたくさんの人がいました。
代官山みたいな場所でもやるんですよね。あれは本当にすごいことだと思いました。
———人の変化も影響すると思いますが、商品の売れ方にはどんな変化がありましたか?
まさにその影響の通りで、新しく競技をはじめる人のギアが売れるようになりましたね。以前の取材は僕がお台場にいた時でしたが、あそこは上にパークが併設してスクールもやっていたのでヘッドギアや膝・肘のパッドを置いていてとても売れていたんです。それが吉祥寺店でも同じようになってきました。あとはやっぱり堀米雄斗くんに関わる商品がとにかく売れています。オリンピックのウェアもそうですし。
ナイジャ・ヒューストンがオリンピックで着用したモデル
———オリンピックの熱狂は、確実にお店に変化をもたらしていますね。それでは本日最後のテーマです。こうして集めた注目を関さんはショップ店長としてどう捉え、そしてどう活かしていこうと考えていますか?
スケボーをやりたいと思う人が増えたことが、まず純粋に嬉しいです。昔よりもできる場所が増えましたし、ショップも増えました。今は本当に気軽に始められるようになったと思います。でもスケボーって難しいから、そこを「続けさせる」ためにショップが色々できることがあるんじゃないかなと。
———スケボーは始める以上に、続けることが難しい。以前の取材でもお話に出ていましたよね。
はい、そうなんです。だからお店に来たら教えてあげたり、店内に流れている映像も説明したり、ちょっとでもスケボーの面白さを伝えたいですね。そしてお店の一番の役割って「人と人とをつなぐこと」だと思っているので、そうしたシーンを大きくしていきたいです。
———なるほど。そうして人と人をつなぐという意味ではInstantお台場店はスクールやパークが併設している強みがありましたが、吉祥寺店の魅力ってどんなところでしょうか?
吉祥寺に関しては立地だと思っています。井の頭線も中央線も通っていますし、吉祥寺より西側ってスケボーショップがないんですよ。だから色んな人が来やすいと思います。それにウチはシンプルなんですけど、ネジが一個取れてもすぐ対応できますし、定休日も作っていないんですよ。
———定休日がないんですか!?
スケーターは365日滑っていますから!そこに対応するために定休日は作っていません。
———カッコよすぎます(笑) ということは吉祥寺店の近くにスケボーできる場所もあるのでしょうか?
少し三鷹の方になりますが、武蔵野市役所のところに「ストリートスポーツ広場」がありますね。オリンピックの解説でも話題になった瀬尻稜君が育ったパークでもあるんですよ。そこが一番近いですし、あとは小金井公園にもありますね。僕も休みの日は電車に乗って行ってますよ。
———スケボー人気が一過性ではなく、この後もしっかり続いていくことを願っています。関さん、本日はありがとうございました!
こちらこそ、ありがとうございました!
2011年、なでしこジャパンがワールドカップを制覇。
2017年、ラグビーワールドカップで日本代表が大健闘。
スポーツ界に訪れるビッグモーメントは、競技発展へ向けた千載一遇の好機。女子サッカーは難しいですが、ラグビーは翌大会でも好成績を収めたことで安定した露出も生まれ、競技者数も増えていると聞きます。
果たして、スケートボードはどうなっていくでしょうか。
他の2つと決定的に違うのは、ひとりでもはじめられるということ。これは非常に大きなアドバンテージだと思います。今ではYouTubeで気軽にレッスン動画も観れるようになり、オリンピックを機に動画の本数も一気に増えました。
でもやっぱり「仲間」がいると、もっと楽しいスポーツです。
難しいトリックを決めれば対戦相手も祝福するし、失敗して悲しみに暮れている時には肩を貸してくれます。わたしたちがオリンピックをきっかけに知ることが出来たのは、カッコよさだけではない、スケートボードの魅力です。人と人が繋がり、支え合い、高め合うこと。
そんなシーンを大きなものにしていく、そう強く願う店長がいるInstantの吉祥寺店。みなさんも是非足を運んでみてはいかがでしょうか。
おわり
2021年8月公開