今、みんなが一番履いているスニーカーのメーカーは?
と聞いたら、多くの人がNIKEと答えると思います。これまでにファッションカテゴリでも数多く(というかほとんど)取り上げてきましたし、世界的にもマーケットのダントツ1位を突っ走っています。たとえば街を歩いていて、ふと足元に目をやるとNIKEがやはり1番多いでしょう。
でも、スニーカーは色々なメーカーから作られています。
せっかくの『恋するスニーカー』ですから、NIKEではないものも取り上げていこうと思い、筆を執りました。今回ご紹介するのは、日本を代表するスポーツブランドであるasics(アシックス)です!
なぜ、アシックス?
「小学校の通学靴だった」
「なんか部活感がすごい」
「陸上のイメージが強い」
「アスリートが履いてそう」
アシックスのイメージを聞くと、結構な確率でこんな答えが返ってきます。これには私も共感しますが、やはりアシックス=運動というイメージが強いですね。特に今は東京2020オリンピック・パラリンピックのゴールドパートナーとして、日本代表選手団のオフィシャルスポーツウェアも手掛けています。こうした点も、先程のイメージにつながっているのではないでしょうか。
ここで一足、アシックスが今年リリースしたあるスニーカーの写真を御覧ください。
これは【Gel Kayano5 OG(ゲルカヤノ5)】というモデルがベースなのですが、ご覧いただいてお分かりのように凄まじい配色のデザインですよね。実は、このモデルを手掛けたのは元SMAPの香取慎吾さんなのです。香取さんは、スタイリストの祐真朋樹さんと一緒に「ヤンチェ_オンテンバール(JANTJE_ONTEMBAAR)」というショップを手掛けています。ご紹介したモデルは、アシックスとこのヤンチェ_オンテンバールがコラボレーションした一足なのでした。
香取さんのファンをはじめ、スニーカーフリークたちにも注目された本作は即日完売。そして案の定、オークションサイトでも定価をはるかに上回る取引価格で売買されていました。こうした出来事が起こるのは決してNIKEの専売特許ではないのです。特に今年は、この香取さんとのコラボモデルをはじめ、アシックスからリリースされたスニーカーで完売になるものが非常に増えてきました。
今、アシックスの勢いがすごいのです。
アシックスにとっての2020年。
2020年は、アシックスにとって非常に大きなモーメントです。
まずひとつ目が、東京オリンピック。日本代表をウェアから支えるアシックスにとっても大きなチャンスでした。残念ながらその機会は来年に持ち越しになってしまいましたが、中止決定の前から準備が進んでいたプロモーションは予定通り実施されたものもあり、結果としてこの7ヶ月の間でも非常に多くのニュースが生まれました。
そしてもうひとつ。それが、アシックスを代表するモデル【Gel Lyte3(ゲルライト3)】の30周年というアニバーサリーなモーメント。今年のアシックスの勢いの原動力と言っても過言ではありません。ゲルライト3は今からちょうど30年前の1990年に、アシックスのデザイナーである三ツ井滋之さんが手がけたランニングシューズです。
このモデル、とにかく履き心地がすごい。
ソールにはアシックスのランニングシューズに使用される衝撃緩衝材「GEL」が搭載されており、クッション性は抜群。そして何よりアイコニックなのが、スプリットタン。ベロ部分が真っ二つに割れており、足首から甲部分がそのままスポっと足入れできるのです。まさに足の上から下まで快適な一足。
そんなゲルライト3ですが、実はもともとは海外向けに作られたモデルで、当時日本では未発売でした。日本のデザイナーがデザインしたものが海外でのみ売られ、アメリカをはじめとする世界各国のマーケターたちにチョイスされてきたのです。そうした背景もあったためこのモデルを愛する人は世界中に広がり、数々の著名なデザイナーたちからもこよなく愛されました。
2020年 ゲルライト3の軌跡。
こうして今では、北米から欧州、アジア圏まで大きなマーケットになったゲルライト3。その生誕30周年である2020年は世界中がその歴史を祝い、そして盛り上げているのです。
例えば1月には、上野アメ横に店舗を構えるスニーカーショップ「mita sneakers(ミタスニーカーズ)」とのコラボレーションモデルがリリースされました。このコラボを手掛けたのは、「GEL-LYTE III」の生みの親でもあるアシックスデザイナーの三ツ井滋之さんと、日本で初めて「GEL-LYTE III」のコラボモデルを製作したミタスニーカーズのクリエイティブディレクター国井栄之さん。2008年からコラボレーションしてきた両者の再タッグという最高の幕開けで2020年が始まりました。
その後も、日本や東京にまつわるカラーリングのモデルをはじめ、数々のインラインシューズをリリース。そして迎えた6月に発売されたのが、先日の記事『×TOKYO』でロンドン五輪フェンシング男子銀メダリスト三宅諒さんが着用していたあの一足でした。世界的ヴィンテージコレクターのショーン・ウェザースプーンとatmosディレクター小島奉文さんが手掛けたモデルです。
さらについ先日には、これまでに数々のコラボレーションモデルを手掛けてきたニューヨーク発のセレクトショップである「KITH」からも新作がリリースされました。実はこのKITHは国外初出店として、7月に渋谷にオープンしたショッピング施設「MIYASHITA PARK」に居を構えています。そのため、この大注目モデルは運のいいことに日本でも購入することができ、あっさり2日間で完売したそうです。
スポーティなイメージの強いアシックスですが、それは見方のひとつでしかありません。
香取慎吾さんがデザイン手掛けていたり、世界に名だたるクリエーター達ともコラボレーションしていたり、実はファッション観点でも非常に注目度が高いという事実もあります。
我らが日本を代表するメーカーが、ここまで世界で愛されているのです。
NIKEだけじゃない、スニーカーの素敵なブランドとしてのアシックスのおはなし。もう少しだけお付き合いいただけたらと思います。
2020年7月公開