「連日テレビで報道されるのは、警官への非難さ」
みなさんご存知、映画「パニック・イン・スタジアム」(1976年)。
チャールトン・ヘストンら、レイバンが似合う激シブおじさんたちが主役のこの映画。
簡単にストーリーを紹介させていただくと、9万人が観戦しているアメリカンフットボール(以下アメフト)の試合会場に、突如謎のスナイパーが出現。試合終了間際に突然銃を乱射し始め、場内はもちろん大混乱に!逃げ惑う観客。犯人と警官隊の攻防のラストには・・・。
70年代はパニック映画が一大ブーム。豪華客船や高層ビルの最上階といった閉ざされた空間で事件が起きた時、人はどう行動するか。
何万人もの大観衆に溢れ返るスタジアム。一斉に皆が出口へ殺到するシーンは、国や時代に関係なく起きる事でしょう。階段付近や、急に狭くなる通路などで怪我人続出。いつ大地震が起きてもおかしくない日本では、スタジアムに限らず非常時は落ち着いて行動しましょう。
スタジアム周辺は馬でパトロール。
さて、この映画の舞台となったのは「ロサンゼルス・メモリアル・コロシアム」。
1984年のロス五輪の開会式の会場と言えば、記憶に残っている方も多いのでは。このスタジアムはなんと1923年に開場し1932年、1984年に続き、なんと2028年のオリンピックでも主会場として使用予定です。
私ごとで恐縮ですが、コロナ禍のギリギリ前にこのスタジアムで、長年の夢である本場のアメフトを観戦することができました。お世辞にも綺麗な(最新式と比べて)スタジアムではなかったのですが、改修をほどこしているとはいえ100年近く前に建てられていると思ったら感慨深いものが。
建造から100年近いスタジアム。
前回のマニアックモノガタリでは、アメフトのプロリーグである「NFL」について紹介いたしましたが、その前に、「NFLよりもアメフトってよく知らないんですけど」という方も多いでしょう。
そこで、今回は、アメフトそのものについて説明いたします。
アメフトとは?
その名のとおり、アメリカで生まれたフットボール。
ゴルフのように、羊飼いが暇つぶしに石ころをモグラの巣穴に入れて遊んだ。(諸説あり)のような、なるほど!という発祥を知りたかったのですが、ズバリ、「アメフト誕生!」という説は見当たりませんでした。
一応、歴史を紐解いて見ると、1860年代、イギリスから入ってきたサッカーとラグビーを、大学生達が対抗戦のような形でそれぞれ競っていたところ、ルールがごちゃ混ぜになってしまいます。(それもどうかと思いますが)そこで「アメリカンフットボールの父」と、後に呼ばれるエール大学のウォルター・キャンプが「このままじゃダメだからちゃんとルール決めようぜ」ということで、大学の代表者との会議の結果、アメフトの基礎となるルールを作ったというのが、アメフト誕生の通説となっているようです。
サッカーとラグビーの“いいとこ取り”で生まれたスポーツ。
当初は防具もなかったため、死亡者続出の「殺人ゲーム」と呼ばれていた時代もあったそうですが、度重なるルール改正により、アメリカでは絶大な人気を誇るスポーツになりました。ただルールがちょっと複雑で、初めて見ただけですぐにアメフト好き!とはならないですよね。詳しいルールは専門サイトにお任せするとして、ざっくり説明いたします。
ラグビーボールよりもちょっと小さめ。
「アメフトってどんなスポーツ?」という質問に、「ラグビーと一緒で陣取り合戦」がよくある答え。
でも、そもそも「陣地取りってなんやねん!?」そんなに遊んだ記憶がありません。そこで新たな答えの提案は「大切な宝物(ボール)を敵に取られないように、相手の陣地(ゴール)まで運ぶ」一言で言えばこれじゃないかと。
投げたり、蹴ったりもするのですが、最終的にシュートを“打つ”というサッカーやバスケと違って、ボールを“運びこむ”という点が、ラグビー、アメフトの醍醐味だと思います。
そして、試合の大まかな流れは、まずは野球と同じで攻撃と守備に分かれます。攻撃権は4回あり、その間に10ヤード(9mちょっと)進むことが第一目標。10ヤード以上進めば攻撃権は更新され、また新たに4回攻撃できます。これを繰り返しながら最終的に敵陣の一番奥までボールを運べばタッチダウン(ラグビーのトライ)で点数が入ります。もちろん点数を多く取ったほうが勝利。
4回攻撃できる間に、3ヤードぐらいずつ地道に進んでもいいし、ロングパスで一気に30ヤード進んでもいいし、ここが戦略的な面白さ。また、攻撃側が落としたボールを守備側が拾ったり、パスカットするとその時点で攻守が交代。試合中、いつでも一発逆転があるところが人気の1つではないでしょうか。
サッカーやラグビーと違い、毎回セットプレイ(静止した状態)からゲームは開始。このワンプレイごとに作戦を練るのですが、その数は300通りあるとも言われ、司令塔であるクォーターバック(QB)は体力はもちろん、頭の良さも必須条件。1994年にMVPに輝いた49ersのQBスティーブ・ヤングは後に弁護士になっています。
いきなりスタジアムで観戦してもボールはほぼ見えないし、正直、何が起きているかわかりません。
曙xボブサップの寝技の攻防を2階席から見ているよう。まずはテレビで、ゲームごとのハイライトシーン、迫力のシーンを解説つきでご覧になり、ある程度試合の流れ、選手の動き方を理解してからの生観戦をお勧めします。
次回は現地スタジアムでの観戦中のお話を!
2022年10月公開。