湘北と陵南の死闘、会場のモデルとなった平塚総合体育館へ
14回目を迎えたしぶさんぽの目的地は湘南。バスケットボール漫画の金字塔『スラムダンク』ゆかりの地や、江ノ島ヨットハーバーを訪れた私、渋谷淳と近藤カメラマンは江ノ島駅前でラーメンを食べて充電完了。再び江ノ電に乗り、藤沢経由で平塚へと向かった。
平塚駅からはバスに乗って平塚総合運動公園へ。この広大な公園にはさまざまなスポーツ施設があり、数々のドラマが繰り広げられてきた。まずはバス停からは奥に位置するトッケイセキュリティ平塚総合体育館に行ってみよう。
トッケイセキュリティ平塚総合体育館
この体育館は今回のテーマである『スラムダンク』で、湘北が神奈川県大会の決勝リーグで陵南と対戦した舞台のモデルとなっている。ライバル陵南との死闘は『スラムダンク』の前半部分のクライマックスだ。
泣けるシーンは数え切れないほどある。陵南戦は最後、赤木武憲のシュートが落ちたとところを、桜木花道がリバウンドを取ってそのままダンク! 「戻れ!! センドーが狙ってくるぞ!!」と吠えたところでタイムアップだ。悲願の全国大会出場を決めたキャプテン赤木の顔が涙でぐしゃぐしゃになる。桜木が「さぁ、整列だ」と赤木の肩を抱くシーンは思い出すだけでも涙ものである。
ちなみにこの体育館では現在、Bリーグの横浜ビー・コルセアーズがホームゲームを行うというからバスケとの縁を感じずにはいられない。卓球のTリーグでも会場として使用されることがある。
体育館の前で物思いにふけったあとはレモンガススタジアム平塚に向かった。ちなみにネーミングライツを取得しているレモンガスとは平塚市に本社を置くガス会社。トッケイセキュリティとは同じく平塚に本社を置く警備会社で、正式名称は株式会社特別警備保障という。
レモンガススタジアム平塚、ベルマーレのエンブレムが輝く
こちらは言うまでもなくサッカーJリーグ、湘南ベルマーレの本拠地だ。主のいない静かなスタジアムを訪れると、入口に「8月21日 湘南ベルマーレvs.鹿島アントラーズ」の看板が(この試合は1-1のドローだった)。8月26日現在、ベルマーレはJ1の18チーム中15位で降格圏内。がんばれ、ベルマーレ!
湘南ベルマーレの本拠地レモンガススタジアム、名勝負の平塚球場
少し歴史も知りたいと思い、湘南ベルマーレ公式サイトの「ヒストリー」をのぞいてみると――。
1968年 栃木県那須で藤和不動産サッカー部として創部。
1971年 日本サッカーリーグ(JSL)1部昇格。
1973年 JSL4位(10チーム中)。セルジオ越後と中村勤がベストイレブンに選出。
1975年 藤和不動産からフジタ工業へチームを移管。
と、成り立ちはこんな具合。そうかあ、最初は藤和不動産だったのか。私が育ったマンションが藤和不動産の物件だったので、同社にはなんだか親しみを感じる。そしてセルジオ越後さん! 日系ブラジル人のセルジオさんは当時、JSL初の「元プロ選手」として注目を浴びた。これからも日本のサッカーを厳しく、温かく見守ってください!
で、このあとチームは低迷期に入るものの、1993年のJリーグ立ち上げ時に正式加盟が決まり、翌シーズンからベルマーレ平塚としての活動が始まった。私がよく覚えているのはやはり中田英寿さんたちが活躍した90年代だ。98年のワールドカップにはベルマーレから中田、呂比須ワグナー、小島伸幸の3選手が日本代表に選出。洪明甫が韓国代表で同大会に出場している。いや~、ベルマーレ、豪華でした! 黄金時代よ、再び!
バッティングパレス相石スタジアムひらつか
レモンガススタジアム平塚をグルッと回ると、この日の最終目的地であるバッティングパレス相石スタジアムひらつか(旧平塚球場)が現われる。こちらは平塚市に本社を置く相模石油株式会社がネーミングライツを取得し、同社が経営するバッティングセンターの名前を球場名の冠とした。
この球場はプロ野球の横浜DeNAベイスターズの二軍戦が組まれているほか、神奈川県の高校野球でお馴染みの会場となっている。では平塚球場の名勝負とは? 今回2度目の登場、神奈川新聞のウェブサイト「カナロコ」に発見しました!
タイトルは「限界を超えた投手戦 厚木・川村丈夫、川崎北・河原純一」だ。1990年夏の神奈川県予選準々決勝である。
川村とはのちに横浜ベイスターズで活躍したあの川村であり、河原とは巨人、西武、中日と渡り歩いた河原のことだ。決して強豪校とは言えない県立高からプロ選手が生まれるだけでもすごいことだし、その2人が「限界を超えた投手戦」を繰り広げたというのだから興味を引かれる。
両投手は互いに譲らず1-1のまま延長戦へ。延長16回、川崎北が厚木から2点を奪い、その裏を河原が締めて熱戦を制したという。ちなみに「カナロコ」の記事は有料会員限定。ぜひ会員になって最後まで読んでください!
ちなみに高校野球漫画といえば、今年1月に亡くなった水島新司先生の野球漫画、週刊少年チャンピオンで1972年に連載が始まった『ドカベン』が横綱だろう。明訓が神奈川県の高校という設定で、漫画には県内球場が登場する。大和市にある大和球場は現在、山田太郎や里中智のブロンズ像が建立され、「ドカベンスタジアム」として親しまれている。興味のある方はぜひ足を運んでみてほしい。
ようやく足を冷やしてさんぽを終えた
球場を見学した私たちは、球場脇の水遊び場でズボンの裾をまくり、疲れた足を水にひたしてしばし涼をとった。さあ、今回のさんぽもそろそろ終わりにしよう。ほうほうのていで帰宅し、スマホを調べて見ると、この日の歩数は過去最高を更新する2万780歩!
真夏に組むスケジュールではなかったなあ~。危ない、危ない。すいません、近藤カメラマン、次回はもっと綿密に計画を練ります!
おわり