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マニアックモノガタリ ファミリーのコンピューター VOL.2

前回はファミコンの誕生(ロードランナーの誕生も!)について触れました。
ではいったい、1200を超えるタイトルから、スポーツに関するソフトがどれくらいの数だったのか。
まずは、独自の判断基準でジャンル分けした調査結果をご覧ください。

アイスホッケー、ボーリングが健闘。

 

全タイトル1251本のうち、スポーツゲームにジャンル分けされたのは175本。中でもダントツの本数は「野球」。これは皆さん予想通りでしょうか。

数が多めの上位をちょっとだけ考察していきましょう。

スポーツゲームの先駆者「野球」46本

ファミコン史上最初のスポーツジャンルは野球。そして最多数もこのジャンル。中でも「プロ野球ファミリースタジアム」の存在なくしては、野球ゲームの発展はなかったでしょう。

「燃えろ!!プロ野球」や「究極ハリキリスタジアム」など、ファミスタに追いつき追い越せと、続々と新手が現れます。最多の理由は、毎年事に選手のデータを更新、さらにゲーム自体もマイナーチェンジをほどこし、シリーズ化したこと。(たまにグレードダウンもありましたが)この事が野球ファンを飽きさせなかったことでしょう。

ポールポジションを狙って「モータースポーツ」23本

野球ジャンルに続いて多かったのは「モータースポーツ」。クルマが17本。バイクが6本。やはり、テレビゲームが舞台となると、レースゲームが上位にくるのは必至かと思います。80年代後半からのF-1ブームとの相性もバッチリ合ったのでしょう。

こちらはジャンル分けが難しかったのが正直なところ。一応、今回の定義づけとして、モータースポーツはレースで順位を決めるもの。空を飛んだり、ミサイルをぶっ放すものはスポーツゲームではなくて、アクションゲームにジャンル分けしました。映画で言うと、「キャノンボール」はギリアウトで、「マッドマックス」は完全アウトといったところでしょうか。(映画そのものはホームラン級の面白さ!)

対戦ゲームの代名詞「格闘技」19本

格闘技もモータースポーツと同じく、あまり飛び道具が出ないものとしました。例外としては「キン肉マン マッスルタッグマッチ」。ゲーム完成度の高さ、キャラクターの個性の違いを初めてゲームに取り入れるといった、後の対戦ゲームの礎になったという点でランクインです。「カラテカ」のようなタイプのゲームは、アクションゲームのジャンルとしています。決して主人公が弱すぎたから除外したわけではありません。

アーケード版でも人気のプロレス、ボクシングは王道という事であれば、ファミコンならではのゲームでしょうか、相撲は4本発売。イロモノになりがちなラインですが、寺尾や千代の富士の名前が入った、真面目なゲームに仕上がっています。

お父さんがターゲット「ゴルフ」16本

「パパ、ファミコン買ってよ〜」
「だめだ、そんなくだらないもの」
「だって、ゴルフもあるんだからパパだって楽しめるよ」
「えっ?ゴルフがあるのか?(自分の練習にもなるか・・)よし、買おう!」
なんて単純なドラマがあったかどうかはわかりませんが、中高年層を獲得し、ゴルフも上位にランクイン。驚くべきことに、初代「ゴルフ」で考案された、3点打法(1回目のボタンでスイング開始、2回目で強さを決め、3回目で曲がりを決める)は、これ以降のほとんどのゴルフゲームで採用されているスタイルとなっています。漫画「あした天気になあれ」で言うところの「チャー・シュー・メン」。

後半の巻き返しに期待「サッカー」15本

初代「サッカー」はなんと6人対6人。フィールドプレーヤーが5人という、かわいい設定でスタートしました。まだ海外のサッカーの情報もあまり入ってこない状況。Jリーグもファミコンとは時代が上手く噛み合わず。野球との差を開けられてしまいました。「キャプテン翼」のゲームも、もちろん発売されているのですが、従来の対戦型ではなく、コマンド選択方式のシミュレーションスポーツゲームとして、新しい扉を開いております。

ゲームの巧さより筋肉勝負「オリンピック関係」8本

こちらは「ハイパーオリンピック」に代表される陸上競技全般を。
五輪憲章に引っかかるかもしれませんが、凶器攻撃ありの「ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会」も入っています。このジャンル、ただひたすら連写性能を競う種目があったのは、その事自体がゲームを超えた一つのスポーツだったのかもしれません。

騒音の苦情が殺到「ファミリートレーナーシリーズ」7本

専用マットの上で、走ったり、跳んだり、体感ゲームの元祖。後の『ダンスダンスレボリューション』『Wii Fit』の先駆けとも言われるゲーム。シリーズとして10本展開。そのうちの7本をスポーツにまとめました。

わざと斜めでバグを発生。

 

小中学生が熱中した印象が強いのですが、ゴルフも上位という結果。しっかりと購買層の幅を持たせていたのは任天堂の戦略でしょうか。参考までに大人向けソフトとしては、囲碁将棋が20、麻雀が21タイトルと、これまた人気のジャンルという結果に。
実際にプレイしたことない競技でも、ファミコンを通じてルールや用語も覚えられたのは大きいと思います。
私は「10ヤードファイト」で見た事もないアメリカンフットボールを知りました。

スポーツジャンルの全容はつかめたでしょうか?
次回は年代を絞って、また違った角度から見ていきたいと思います。

「ファミリーのコンピューター vol.02」 終

2022年7月公開

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