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SPOALの本棚 『プロレスラー』 著者 山内猛インタビュー 第2回

プロレスラーのホテルや部屋は新聞社が教えてくれた!?

渋谷 山内さんが高校生や大学生だった1970年代にプロレスラーの追っかけみたいなことをやっていた、というところで第1回が終わりました。で、これも疑問なんですけど、選手が乗ってきた飛行機の便名とか、どこのホテルに泊まっているとか、分かってないとその場に行けないですよね。どうやって情報を得ていたんですか?

山内 新聞社に電話したら教えてくれるんだよ。

渋谷 ????

山内 だから教えてくれたんだよ、当時は。東スポにだって飛行機の到着便とか、場合によってはホテルの部屋番号まで載ってたから。

渋谷 いや、すごいなそれ。信じられないような話だけど、まあ、考えようによっちゃ今みたいにSNSとかないから問題も起きにくかったのかもしれない。選手は別として、よそに迷惑をかけてるわけじゃないし。

こちらもファン時代に取った1枚。1975年3月20日 蔵前国技館=山内猛

 

山内 そうだね、写真撮ったり、グッズもらったりしても、自分で楽しむだけだから。

渋谷 そうやってミル・マスカラスの部屋まで行ってマスクもらったということ?

山内 そういえば初めて羽田空港まで行ったのは確かマスカラスの初来日だったんじゃないかな。

渋谷 “千の顔を持つ男”マスカラスの初来日はプロレスファンにとって大ニュースだったんだ。

山内 まだ見ぬ強豪として待ちに待ったマスカラスの来日だよ。羽田空港国際線ロビーに着いたら100人近いファンが集まっていてビックリしたよ。当時、アメリカから直行便はないから、ハワイ経由のパンアメリカンで日本時間の夕方に到着する便だった。マスカラスがロビーに出てくると100人近いファンが殺到してもみくちゃ。VIPルームで来日会見して、そのあとレスラーが都内の宿舎に移動する。当時は赤坂のホテルニュージャパンでした。

渋谷 ホテルニュージャパンっていうのもなんだかグッときますね。1982年の火事で33人が亡くなったという昭和の事件簿に必ず出てくるホテルでしょ。社長は横井英樹! 懐かしいなあ。

山内 そこで東スポは選手の部屋まで行って上半身を脱がせて写真を撮るんだよ。で、翌日の1面でその写真を使って「馬場殺しを宣言!」とか見出し付けて大きく記事にする。それをオレもやりたくてね。部屋まで押しかけて写真を撮らせてもらったわけ。

渋谷 確かにそういう写真も本に掲載されてますね。それにしてもいきなりホテルの部屋をノックして交渉するなんてあり得ない! しかもそれに応えてくれるレスラーがいたっていうのがやっぱり時代なんですかね~。

新卒で入った会社を2カ月で退社、カメラマンの道を歩み始める

渋谷 さて、ちょっと話題を変えちゃうけど、山内さんってそもそも最初からカメラマン志望だったんですか? プロフィールを見ると大学を出てから写真専門学校に行ったとありますけど?

山内 大学出て最初はスポーツ用品の会社で働いたんだよ。近所のおじさんに勧められてさ。車に乗って学校を回ってスポーツ用品を届けに行ったりとかしてた。でも、つまんないなあと思ったわけ。これ一生やるのは面白くないなって。で、2カ月くらいで会社を辞めた。

渋谷 大学出たときにプロレスの仕事に就こうとか、カメラマンになろうとかは思わなかった?

山内 まったくない。で、会社をやめたとき、じゃあ何をやろうかと考えて、やっぱりプロレスかな、カメラマンかなと思って写真の専門学校に通うことにした。秋に入学したのかな。学校に行くお金がいるから、それまで集めていたプロレスグッズを知り合いにまとめて売ったよ。

左から天龍、鶴田、猪木、坂口 1989年1月4日 銀座東急ホテル=山内猛

 

渋谷 そういうことだったのか。

山内 そう、それで2年間の専門学校が終わるころに、ちょうど内外タイムスの求人があって、面接受けて入社が決まったという流れだね。

渋谷 それでついにプロのカメラマンとして本格的にプロレスを撮るようになったんだ。

山内 いや、プロレスもちょっとは行ったけど、最初は野球だったんだよ。当時、内外タイムスの裏一面で野球を毎日やるようになって、野球を撮るカメラマンがほしいと。野球って拘束時間が長いし、撮る量も多いからベテランは敬遠したんじゃないかな。それで「若いお前がやれ」となったような気がする。

渋谷 プロレスができなくてがっかりした?

山内 いや、それはない。だってオレ、野球も好きだから。それで多摩川(巨人の練習場)に通うようになった。面白かったよ。当時は江川がいて、西本がいて、サダ坊(定岡)、角、鹿取がいた。バッターは中畑、篠塚、山倉とか。オレが担当した80年のオフに原(現監督)が入ってきたのかな。いい時代の巨人軍だった。面白かったよ。

渋谷 確かにそうそうたる顔ぶれですね。それでしばらくは巨人担当だったんだ。

山内 そう。それで4、5年してUWFが出てきた。今までにない新しいプロレスだということで、これは面白い、内外で取り上げようということになった。それでUWFだけじゃ1ページ作れないからプロレスもやろうと。それからだね、本格的にプロレスを撮るようになったのは。

渋谷 80年代半ばの話ですね。それでは次回、もうちょっと本の中身に切り込んでいきましょう!

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2022年7月公開

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