「キャリーには超能力があった」
みなさんご存知、映画「キャリー」(2013年リメイク版)からの一言。
ホラーの帝王スティーブン・キングが原作の本作品。
主人公のキャリーは手を触れずに物を動かす念動能力を持つ女子高校生。
クラスメイトからのイジメがきっかけで、狂信的なクリスチャンの母親と確執が生まれてしまいます。
プロムと呼ばれるパーティーで犯罪レベルの悪戯を受け、その怒りはピークに達し自らの超能力を覚醒させます。トラウマどころの騒ぎでは収まらない凄惨な現場へと…。
原作は1974年、スティーブン・キングのデビュー作として発表。当初3ページほど書いた原稿をゴミ箱に捨ててしまいますが、奥さんがそれを見つけ読み、完成するようなんとか励ましたという逸話が。
今回の「SPOALの本棚」はそんなスティーブン・キングのあまりホラー寄りではない作品、
「トム・ゴードンに恋した少女」(1999年新潮社)をご紹介。
この小説、一言で言ってしまえば、森で迷子になった少女の9日間のサバイバルストーリー。
要素としてはこれだけなのですが、キングの緻密な描写にグイグイと引き込まれていきます。
主人公のトリシアは9歳。日本で言ったら小学校3,4年生ぐらいでしょうか。
ハチや蛇などの現実的な恐怖はもちろん、キングお得意の得体のしれないモノが少女を襲います。
出口の見えない孤独な戦いの中、彼女の唯一の味方がラジオから流れるメジャーリーグの試合。
大好きなボストン・レッドソックスの投手、トム・ゴードンが出場している試合を聞きながら、いつか彼が救援(セーブ)してくれることを夢見てこのサバイバルを切り抜けます。
メジャーリーグファンならお馴染みの選手トム・ゴードン。長男、次男もメジャーリーガーというスーパーな血統。
ニックネームは“フラッシュ”。アメリカの人気アニメ「フラッシュ・ゴードン」からきています。
余談ですが、このアニメ「フラッシュ・ゴードン」の映画化を試みたのがジョージ・ルーカス。ただこの時、映画化の権利は他にあったのでルーカスは映画化を断念。その代わりにスターウォーズを作ったとのこと。もしフラッシュ・ゴードンを作っていたらスターウォーズは生まれていなかったかもしれません。
遠い日本から作中の少女を応援すると、まず、引き返せ。服は濡らすな。沼地は避けよう。とあれこれ突っ込んでしまいます。
サバイバルものを見ると、やはり持つべきものは友よりナイフ。そしてなにより火が大事なのを痛感。
スポーツとは関係ありませんが、作品中、魚に関する描写が日本とアメリカでこんなに違うのかという箇所がありますので、是非こちらもチェックしていただきたい。
皆さんもうお忘れかもしれませんが、2021年の流行語年間大賞は五輪イヤーにもかかわらず、大リーグで投打の活躍を見せた大谷翔平選手の「リアル二刀流/ショータイム」でした。
労使交渉で揉め、今シーズンの開幕も危ぶまれたメジャーリーグ。
大谷選手の今年の活躍ももちろん見ものですが、苦しい時に心の支えになってくれるようなスーパープレイにも期待しましょう!
2022年3月公開