世界一高い電波塔から2021年の幸福を願う
新年の幕開けにふさわしい場所として最初に選んだのが東京スカイツリー。高さ634メートルは電波塔としては世界一の高さを誇る。スポーツに携わる人間として“世界一”に触れようという心意気はいかにも新春らしくないだろうか?
SPOAL編集者の渋谷淳、編集長の二宮寿朗、カメラマンの近藤俊哉はスカイツリー未経験で「一度は行ったみたい!」と思っていた場所でもある。処女ルートにアタックするアルピニストとまでは言わないが、身が引き締まるような思いで世界一の電波塔に出かけた。

ちなみにこの世界一高い電波塔、すべての人工建造物の高さで順位付けすると世界2位となる。世界一はアラブ首長国連邦の首都、ドバイにある超高層ビル、ブルジュ・ハリファでその高さはなんと828メートル。開業は2010年1月で12年5月のスカイツリーより2年ほど早い。
実は当初、スカイツリーも世界一を狙っていたという。計画段階で世界一だったトロントのCNタワー(553メートル)、計画中のシカゴ・スパイア(609メートル=結局建設されず)を上回る高さを設定したのがその証。ところがブルジュ・ハリファは計画段階で完成時の高さを公開しないという“裏技”を駆使して世界一をゲットしたとか。正々堂々だけで勝てないのはスポーツも同じだ。やはり中東は侮れない―。
ドバイの超高層ビルには及ばないにしても、東京スカイツリーだって十分に高い。高さ350メートルの展望デッキまで高速エレベーターで一直線。扉が開くと眼前に巨大なパノラマが広がった。
早速、スポーツにまつわる施設はないかと探してみる。すぐ発見できたのがプロ野球のメッカ、東京ドームだ。これは周囲のビルに比べ、特徴的な形をしているから目立つのだろう。視線を少し南に移動すると、東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場、新国立競技場がぼんやりと見えた。

空が少しかすんでいたため目視できた競技施設は少なかったが、目の前に360度広がるこの景色の中に、今夏予定されている東京オリンピック・パラリンピックで使用される競技施設はかなり入っている。
さいたまスーパーアリーナ(バスケットボール)が立地するさいたま新都心、横浜スタジアム(野球・ソフトボール)がある横浜周辺、さらには江ノ島(セーリング)あたりまで目を向けてみる。幕張メッセ(フェンシング、テコンドー、レスリング、ゴールボール、シッティングバレボール、テコンドー=パラ、車いすフェンシング)は場所がなんとなく分かる程度だったが、地上350メートルの高さから街を見下ろしていると、すったもんだの末に延期となったオリパラが今年こそ無事に開催されることを祈らずにはいられなかった。
仕切り直しの2020東京オリパラは期待の選手がたくさん
さて、せっかく世界一高いタワーに来たのだから、東京オリンピック代表に内定している世界一の選手(オリンピックや世界選手権で優勝経験あり)を紹介してみたい。世界の頂点に立った経験のある彼らは言うまでもなく金メダル候補ということになる。
■陸上
鈴木雄介(50㎞競歩)、山西利和(20㎞競歩)
■水泳
瀬戸大也(200m個人メドレー、400m個人メドレー)
■柔道
男子=高藤直寿(60㎏級)、阿部一二三(66㎏級)、大野将平(73㎏級)、永瀬貴規(81㎏級)、ウルフアロン(100㎏級)
女子=渡名喜風南(48㎏級)、阿部詩(52㎏級)、芳田司(57㎏級)、新井千鶴(70㎏級)、濱田尚理(78㎏級)、素根輝(78㎏超級)
■空手
男子=喜友名諒(形)、荒賀龍太郎(組手75㎏超級)
女子=清水希容(形)、宮原美穂(組手㎏級)、植草歩(組手61㎏超級)
■レスリング
男子=文田健一郎(グレコローマン60㎏級)、乙黒拓斗(フリースタイル65㎏級)
女子=川井梨紗子(58㎏級)、土性沙羅(68㎏級)
■体操
女子=森ひかる(トランポリン)
■セーリング
女子=吉田愛・吉岡美帆(女子470級)
■スポーツクライミング
男子=楢崎智亜(男子複合)
女子=野口啓代(女子複合)

日本オリンピック委員会が掲げている目標金メダル獲得数は30個。表に入れた選手が25人だから「足りないじゃないか!」と突っ込みが入りそうだが、実はまだすべての出場選手が正式に決まっているわけではない。つまり金メダル候補は他にもたくさんいるということになる。
たとえばバドミントンは2019年の世界選手権で金2、銀3、銅1を獲得した。男子シングルスの桃田賢斗、女子ダブルスの永原和可那・松本麻佑組の金メダルの有力候補と伝えられている。
新種目であるスケートボードの岡本碧優、グランドスラム通算3勝の大阪なおみが出場予定のテニス、東京大会で復活する野球の“サムライジャパン”とソフトボールも金メダル候補に数えられている。
それにしても「東京オリンピック・パラリンピックってほんとにやるの?」という声が聞こえてきそう(私も心配)。2021年正月の時点では開催しそうなムードとはいえ、ウイルスがひとたび猛威を振るえばどうなることか…。
高速エレベーターで地上まで一気に降りた私たちは“スポーツの神様”が待つ亀戸に足を向けることにした―。
2021年1月公開





