エア・ジョーダン1――
もはや説明不要、スニーカー界の絶対王者ですね。これまでのコラムでもその凄さについては幾度となく触れてまいりましたが、2020年もその勢いは凄まじいものでした。
その導火線となったエポックの一つが、4月にNetflixで公開されたマイケル・ジョーダンのドキュメンタル『ラストダンス』。コロナ禍でおうち時間が増えた環境も追い風に多くの人に視聴され、エア・ジョーダンシリーズのスニーカーがまた注目を浴びるようになりました。
それを証明するのが、スニーカーの相場価格。ジョーダンのシューズの中でも屈指の人気を誇る「エア・ジョーダン1」は、定価18,000円くらい。その中のとあるモデルは、『ラストダンス』の放映前の取引価格が約30,000円だったのですが、放映後には何と50,000円にまで上昇したのです!実に定価の3倍弱という跳ねっぷりでした。
2020年を代表する、エア・ジョーダン1。
そんなエア・ジョーダン1は、今年も数々のモデルが発売されています。中でも特に大きなインパクトを放ったものをご紹介しましょう。
Air Jordan 1 Retro High OG CO.JP “Tokyo”
そう、このモデルはco.jpというシリーズで、ネームには”東京”がついているのです。実はこれ、2001年にリリースされた“JAPAN PACK”というコレクションの復刻モデルなのでした。エア・ジョーダン1の歴史上初めての日本国内限定リリース、そして初のオリジナルカラー以外のカラーリングモデル、極めつけにアタッシュケースのスペシャルなシューズボックスで登場するという、それまでの常識・ルールを覆すナイキの力の入れようは当時大きな話題になりました。
19年の時を経て蘇った本作も、くるぶしのウイングロゴにはオリジナルと同じジュエル素材が使用され、メタリックシルバーとグレーの配色を中心に当時のディテールがしっかりと再現されています。
余談ですが、もともとは”JAPAN PACK”として発売されていた本作が“TOKYO”というネームになって復刻された背景には、2020年に開催される予定だった東京オリンピックを記念しリリースする狙いがあったのではないかと言われています。確かに発売されたのも夏だったので、もし何事もなくオリンピックが開催されていたら、世界中から訪れる人々が東京の地でこのモデルを買い求めることができたことでしょう。実現には至りませんでしたが、しっかり計算されたナイキの戦略を垣間見た出来事でした。
シルバー×グレーという配色ゆえに、コーディネートの幅はとても柔軟です。余計な色が入っていないので、パンツやトップスに様々な遊びができるのもポイントですね。
私は敢えて下半身の色味を薄め、濃いめのトップスで合わせてみました。ウォッシュドデニムは比較的どのスニーカーにも合わせることができる万能戦士、デニムの色合いを殺さないように上の配色はネイビーにして全体にブルーの芯を作っています。
ウイングロゴがジュエル加工なのでドレッシーな印象も与えるこのモデル、もしかしたらグレー系のスーツに合わせてパーティに繰り出すのも悪くないかもしれませんね。アメリカではドレススタイルにスニーカーでキメるおしゃれコーデが社交場でも散見されます。是非、みなさまもお試しください!
JAPANシリーズ、第2作。
2001年の“JAPAN PACK”復刻はまだまだ盛り上がり、10月には第二弾となるモデルも発売されました。
Air Jordan 1 Retro High OG CO.JP “Midnight Navy”
鮮やかなミッドナイトネイビーを基調に、シルバーのスウッシュロゴが入ったモデル。こちらもくるぶしのウイングロゴにはオリジナルと同じジュエル素材が使用されています。
こちらのオリジナルは、2001年当時に日本限定でたったの3,000足がゲリラリリースされたものです。忘れもしない当時、中学生だった私は参戦するお金もなく撃沈。原宿の街に繰り出しては、カッコよく履くお兄様方を眺めていました。
今回はナイキも優しく、当時のように3,000足限定ではなく万単位で生産してくれていたのでなんとか手に入れることが出来ました。こうしたコラボレーションや限定シリーズは、そう何度も復刻されるものではありません。今回は東京オリンピックイヤーという、日本にとって大きなモーメントがあったために実現したと言われているくらいです。スニーカーも一期一会、もし今欲しいモデルがあったら迷わずGOですよ!
ネイビー×白という極めて王道な配色なので、老若男女問わずいろいろな方が楽しく履ける一足ではないでしょうか。2トーン配色はコーディネートがしやすく、例えばこのモデルの場合、トップスに白かネイビーを配することでパンツは好きな色をチョイス出来ます。もちろんトップスとパンツの役割を逆にしても良いと思います。
私の場合はスニーカーありきのファッションなので、とにかくモデルに忠実にカラーを選びます(笑) ということで今回は、ネイビー×白をトップスでハメて完全にシンクロさせてみました。もちろんオシャレは人それぞれですが、困った時はスニーカーの色と服のアイテムを合わせてあげると、それっぽく仕上がるのもセオリーのひとつ。
from 2001 to 2020
19年の時を経て、オリンピックイヤーに再び蘇った日本限定カラーのエア・ジョーダン1。ナイキにとっては狙ったようなプロモーションが出来なかったかもしれませんが、それでも当時よりはるかに多く生産されたこのスニーカーは、欲しかった人たちの足元に届いたことでしょう。
もし来年にオリンピックが開催されることになったら…このモデルを履いて夏の東京を歩きたいものです。
2020年11月公開