2棟から成る、代官山のスニーカーショップ「SNS TOKYO」。近未来の世界観をテーマに作られた棟を出て、今度は日本の伝統をテーマに作られた棟へ。
中に入るとすぐ視界に飛び込んでくるのが、この特注の椅子です。龍とスニーカーが絡み合った彫刻に、ナイキのアイコンスウッシュがセンターに光り輝くスペシャルな仕様。よく見ると龍がバスケットボールを咥えているのが面白いですね。
先程危うく買いそうになったスニーカーはasicsですが、こちらの棟はNIKE(ナイキ)・adidas(アディダス)・NewBalance(ニューバランス)・PUMA(プーマ)・Reebok(リーボック)など各メーカーの主力モデルが並んでいます。果たして編集長に新たな出会いは訪れるのでしょうか。
店内を順に回りながら、真剣に一足一足手に取っていく編集長。
「一人じゃ決して買えないような色を」という宣言通り、好みの黒系だけではなく様々なカラーリングのモデルを検討しているようです。さらに「SNS TOKYO」の店員さんがとても親切にスニーカーの説明をしてくれ、すっかり聞き入っていました。
と、ここで編集長の足が止まりました。
場所は、ナイキのスニーカーが並ぶ一角です。「これいいんじゃないかな」と、カモフラージュ柄にオレンジ色が鮮やかに発色した【AIRMAX90(エアマックス90)】を手に取っていました。
今年の3月から3作連続リリースになった本作、今日はたまたまラッキーなことに再入荷していたのです。元々エアマックスは、1990年代に大きなブームを巻き起こしたナイキの代表作。当時の10代が今は40代ということもあり、現在では老若男女問わず人気なモデルです。このエアマックス90も、発売日には多くの人が買い求めて並びました。40代の編集長にとっては、まさにドンピシャな一足なのでしょう。
これも候補に入るのかな、そう思った矢先のことでした。
「本当はこれがいいんだけど、見た感じ絶対(足に)入らないだろうなあ」
手に持っていたのは、8月1日に復刻となったナイキの【CHALLENGER OG(チャレンジャーOG)】というモデル。
もともと1979年に発売されたチャレンジャーは、シューズの軽量化と耐久性の両立のため、アッパーにナイロン、メッシュ、スウェードという3種の素材を採用していました。また、レースホールをジグザグに配置することで、シューレースの締め付け具合にも留意したランナーへの配慮もバッチリです。今回の復刻版では、ガムソールやヒールのロゴ、シルエットといった細部を忠実に再現し、マルチカラーで夏っぽい仕立てが目立つ一足になりました。
「これ48歳のオジサンが履いても大丈夫かな・・・」
何を弱気になっているんですか!編集長!
どんなスニーカーでも対象年齢はありません。自分が履きたいスニーカーを履くことが、何よりオシャレなことですよ!
とキリッと言おうと思ったら、あっさり店員さんが「幅広い年齢層の方がお買い求めになっていますので全然気にしなくて大丈夫ですよ」と美しいリターンを決めてくれました。編集長もすっかり安心した様子で、自分から店員さんに試着を依頼するというノリの良さ。
確かにスタイリッシュなシルエットのスニーカーですが、何事もフィッティングしなくてはわかりません。大は小を兼ねる、ということで少し大きめのサイズから試着をすることにしました。
「あーっ、履きやすい!吸い付きます、足に。これはいいっすね」
履くまでの懸念はどこへやら、バッチリと足元にハマったようです。何度でも言いますが、やっぱりスニーカーは試着してナンボなのですね。足を通すまでは何が起こるかわかりません。
笑顔で歩き回り、鏡の前に立ってまたイメージをチェック。
やっぱり気に入ったようです。先程買うと言っていたasicsの【GEL LYTE3】とはまた異なる存在感で、どちらも魅力的な選択肢になったことでしょう。ここで一旦編集長の意見を聞いてみることにしました。
「うん、これに決めました。」
こうして、買い物はあっさりと2足目の試着で終了となりました。
仕事柄、様々な方のスニーカーショッピングをアテンドして来ましたが、やはり皆様共通しているのは「恋は盲目」という点。候補は色々見つけていくのですが、ビビビッと来てしまったらもう他のスニーカーは目に入らなくなるのです。
そんな恋に落ちた瞬間のたまらなく嬉しそうな表情を特等席で見ることができるのが、この仕事の醍醐味。今日も素敵な瞬間に立ち会うことができました。
そして無事、お買い上げ!
『恋するスニーカー』の体当たり企画、「SPOAL編集部がまず恋に落ちてみよう」は大成功となりました。編集長からも大満足とのお言葉をいただき、ホッとしました。
漫画『花より男子』の一節に、こんな言葉があります。
靴はとびきりいいものをはくの。
その靴がいいところに連れていってくれるのよ。
今日はまさに、”とびきりいいもの”に出会うことができました。
ひとりで買い物に行くのではなく、(企画だけど)みんなで行ったことで生まれた勢い。その結果、編集長はこれまで履いてこなかったような一足を手に入れました。
買ったスニーカーは、早速明日おろすそうです。
「明日は家族でお出かけする日だからね」と言いながら帰路につく編集長の足取りはとても軽やかでした。
ほらね、とびきりいいものを履いたら、いいところへ連れて行ってくれるでしょう?
『恋するスニーカー』 終
2020年9月掲載