B2復帰シーズン エクセレンスは好スタートを切った
バスケットボールBリーグ、東京エクセレンスは2018─19シーズンをB3で戦って優勝。2019-20シーズンでのB2復帰をはたした。このシーズン、チームで掲げた目標はプレーオフ進出だった。
東京エクセレンスのGM兼プレーヤー、宮田諭は昨シーズンを次のように振り返る。
「B3で優勝したメンバーは1人増えただけで、外国人選手もそのままでB2に乗り込みました。B3で優勝して、選手の年俸の交渉もやりやすかった。僕としてはいままでGMをやっていて一番いい気持ちでシーズンを迎えることができました」

9月に開幕したリーグ戦では、いきなりホームで4連勝と好スタートを切る。中位、下位チームとはいつも互角の勝負を展開した。上位チームには力の差を見せつけられ、12月から翌1月にかけては9連敗を経験。それでもプレーオフ出場に望みを残す位置につけて後半戦を戦っていた。
そこで起きたのが新型コロナウイルスの感染拡大だった。中国に端を発したコロナ禍は、ほどなくして対岸の火事ではなくなり、リーグも、チームも、難しい対応を迫られることになる。宮田はGMとして運営会社やヘッドコーチ、チームメートと何度も話し合い、チームの方針を決めていった。
2月の段階で、練習場に来るまでのルールや練習の前後の過ごし方、人との接し方など細かいところまでガイドラインをつくり、チーム全員でルールを守るようにした。制約が増え、生活は多少窮屈になったものの、バスケットボールに集中しようと心がけた。
幸いにも東京エクセレンスには専用の体育館があるため、練習に支障が出ることはなかった。ただし、試合がいつ再開するかによって準備の仕方は変わってくる。試合が今週末なのか、来週なのか、再来週なのか…。取り巻く状況がコロコロと変わる中で、宮田を含めた首脳陣の戸惑いは日に日に深まっていった。
「一時中断したあと、無観客でやるか、やらないかの議論をしている時期がありました。試合がいつ再開されるか分からない。そんな状況で緊張感を持ったままずっと過ごしてください、みたいな状態が一番きつかったですね」
新型コロナウイルスというものがよく分からない中で、プレーヤーやスタッフの安全、健康は最も優先すべきテーマだった。そこで宮田はヘッドコーチの石田剛規と話し合い、一つの方針を打ち出した。
試合より優先すべきものがある選手は試合に出なくてもいい―。
中でも外国人選手に関しては気を遣った。もし彼らがウイルスに感染したら…死に至る可能性もある病を患い、言葉がうまく通じない中で治療を受けるのは、肉体だけでなく精神的にも大きな負担を強いる。また、感染拡大防止の目的で渡航制限が出る可能性も大いにあり、その前に家族の住むアメリカに帰らせるべきではないか、という考えもあった。
「話せば話すほどいろいろな思いが出てくるし、正しい情報が何かも分からない。バスケをやる2時間は一生懸命やろうとは言っていたけど、そこを離れたら何時間もミーティングをしました。家族のために試合には出られない、という選手もいたし、初めてB2に参戦して試合で自分をアピールしたい、という若い選手もいた。そういうみんなの声を聞きながら葛藤していました」
シーズンは突然幕切れ、最終戦は無念の大敗
結局、無観客で再開された3月14日、エクセレンスはホームの板橋区立小豆沢体育館でFイーグルス名古屋を迎え、外国人選手を含む何人かはそれぞれの判断で試合に出場しなかった。試合は80-114という大敗だった。
この試合を終えて、コートであきらめずに戦う仲間の姿を見て、1試合目を欠場した選手の中から「やっぱりあすは出る」と言い出した者がいた。しかし、翌日の試合前、前日の撮影クルーの中から発熱者が出たという情報がもたらされ、関係者の顔は青ざめた。
試合は行われるのか、それとも行われないのか…。主催者、チーム間で緊急のミーティングが行われ、すったもんだの末に試合は決行。結局、前日よりさらに少ないメンバーで戦ったエクセレンスは78-112と前日に続いてボロ負けを喫した。このあと中断が発表され、続いて2019-20年シーズンの全試合中止が決まった。
©東京エクセレンス
こうしてエクセレンスのシーズンは終わったわけだが、宮田にはGMとしての仕事が残されていた。その一つが外国人選手との契約問題だった。
「中断が決まった時点でもう再開はないかなと思いました。プレーオフだけやるかもしれないけど、情勢を見ているとなかなか難しい。だから練習は続けていたけど、話し合ってインポート(外国人選手)には先に帰ってもらうことにしました。ただ、あいつらが悪くて帰るわけじゃないし、契約はあと1ヶ月残っていたけど契約解除にはしたくない。そこでお互いにちょっと譲歩して、サラリーを調整して、契約満了にして帰ってもらいました」
サラリーや契約はGMの仕事だ。エクセレンスではシーズン中も外国人選手の家族が日本に来られるように手配し、年に2回くらいは試合を見てもらっていた。緊急事態とはいえ、信頼関係のある外国人選手を放り出すような真似はしたくなかった。
3シーズンをともに戦ったジョーダン・フェイゾン、ライアン・ステファンの2人は3月中旬、メンバーに別れを告げてアメリカに帰った。
シーズン中断、中止という結果に加え、宮田はもう一つ、大事なことをチームに伝えなければならなかった。B3への降格である。成績が悪かったからではない。2020-21シーズン、東京エクセレンスにはB2ライセンスが与えられなかったのである。
「B2ライセンスが与えられるかは、アリーナの大きさと財務と成績で決まります。自分たちはアリーナでライセンスがとれませんでした。昨シーズンは3000人規模のアリーナを本拠地にするという計画が通ってライセンスが出ていた。ところが将来的に新たなリーグの構想が出てきて、そこには5000人規模のアリーナがないと入れない。だったら我慢して仕切り直すべきか、そんな考えも出てくる中、利用を検討していたアリーナ計画に変更が出ました。選手の責任ではないので申し訳ないけど、そういうことになりました」
エクセレンスがB3に落ちるのはこれが2度目。リーグ降格はクラブにとって存続にかかわるような大きな出来事だ。GMとして厳しい現実に直面した宮田だが、彼の長いバスケットボール人生には、チームと同じようにターニングポイントがいくつもあった。
2020年8月掲載








