水道橋駅南側は学生とサブカルチャーの街
後楽園で折り返して、今度は白山通り(この下に都営地下鉄三田線が走っている)を南へ。再びJR水道橋駅方面に向かった。通り沿いには武道ショップが数軒。剣道の竹刀、柔道や空手の道着、その他防具や練習用具などがどこか昭和のムードが漂う店内に所狭しと並んでいた。
讃岐金刀比羅宮東京分社へ。路地に一歩入れば別世界だ
通り沿いから神社が見えたので近づいてみると、ここが讃岐金刀比羅宮東京分社。「水道橋のこんぴらさん」として親しまれているようで、節分には大相撲の佐渡ヶ嶽部屋の力による豆まきがあるという。
この神社、インターネットで検索してみると、金運アップのパワースポットでもあるとか。二宮寿朗編集長、近藤俊哉カメラマンとともにお賽銭を投げて柏手を打つ。ついつい神頼みをしてしまうSPOALのメンバーであった…。
神社をあとに再び白山通りを下ると外堀通りとぶつかる。ここが水道橋の交差点で、白山通りを神田川に渡す橋を水道橋という。橋を渡ったところがJR水道橋駅の東口だ。
水道橋交差点から東京ドームシティを望む
神田川を境に住所は文京区本郷から千代田区三崎町へ。いよいよ水道橋駅の南側に潜入だ。東口から少し入ったところにある居酒屋『へそまがり』は私がボクシング関係者と試合終わりによく顔を出す店。しかしボクシングの店というわけではなく、メインは試合終わりのジャイアンツファンである。
夢馬券よ、いつか当たってくれ!
競馬のG1レースが開催される時期に店を訪れると“夢馬券”がプレゼントされるから、店主は野球だけでなく、馬も愛しているのだろう。夢馬券は当たれば配当の大きな万馬券。このときばかりは普段競馬をやらない私もレース結果をチェック! 残念ながら当たったことはまだない…。
ボクシングファンが集まったといえば、向かいのビルの地下にあったダイニングバー『GLOVE』だ。大型ビジョンに海外のスターたちの名勝負が流され、壁には世界チャンピオンたちの直筆サイン、海外ビッグマッチのポスターで埋め尽くされていた。ボクシング愛に満ちた店内には、現役ボクサーが食事にくることもあり、ネタを仕入れに顔を出すメディア関係者もいたものだった。2016年6月、惜しまれながら閉店している。
こちらは新たに移転した闘魂ショップ
『GLOVE』の向かいのビル、つまりは『へそまがり』の隣のビルには新日本プロレスのライオンマーク。これは新日本プロレスが直営する闘魂ショップの名残である。水道橋はプロレスファンにとっても聖地。闘魂ショップは2019年11月に移転し、現在は水道橋西通り沿いに店を構えている。
ショップといえば10分ほど足を延ばせば神保町の古書店街が広がっている。ボクシングやプロレスを得意にしている店があり、昔は私もボクシングのムック本、雑誌のバックナンバーを探しに足を向けることがあった。もし、スポーツの文化的な香り(?)を味わいたいのであれば、神保町まで足を延ばしてみても面白いかもしれない。
本つながりで付け加えると、スポーツファンにはお馴染みの出版社『ベースボールマガジン社』がかつて水道橋の西口にあった(現在は日本橋浜町に移転)。私も同社からさまざまな仕事をもらい、ボクシング仕事のついでによく編集部に通ったものだ。
さて、水道橋駅からもう少し離れてみよう。南口は大学、専門学校、高校と多くの学校がある中、目指したのは日本大学の三崎町・駿河台キャンパスだ。水道橋駅の近くに立地するのは法学部と経済学部。この2学部だけでいくつもの建物が立ち並び、図書館まであるのだからさすがはマンモス大学だ。
日大法学部は二宮編集長の母校!
これはなんとかスポーツに結び付けたい!と日大体育会のホームページをチェックしてみたところ、三崎町・駿河台キャンパスを拠点に活動している体育会は残念ながらゼロだった。
なんだか悔しいので他の水道橋近辺の学校を調べてみると─。
ありました! 水道橋東口からすぐ、東洋高男子バレーボール部は2010年の春高バレーで全国優勝を成し遂げた強豪。いまでも卒業生の柳田将洋選手、関田誠太選手が全日本チームで活躍しているというからすごい。
オリンピック3大会で金メダル3個、銀メダル4個を獲得した体操界のレジェンド、内村航平選手も東洋高出身だ。個人的には、プロボクシングでで日本スーパー・ウェルター級、ミドル級王者になった中川大資さんも付け加えておきたい。
スポーツにいかされ、スポーツに愛され、スポーツとともに歩む水道橋。めいっぱいスポーツの空気を吸ったところで、いつものように黄色い総武線に乗った。
しぶさんぽシーズン3 終
2020年6月掲載