『ペンシルベニア州ピッツバーグ』
「僕はこの街を出たいんだ」
みなさんご存知、映画「栄光の彼方に」(1983年)から。
鉄工所しかない小さな街を舞台に、アメフトの奨学金を受けて大学進学を目指す高校生の恋と挫折を描いた作品。
主人公を若き日のトム・クルーズが演じます。恋人役は後のバック・トゥ・ザ・フューチャーでブレイクするリー・トンプソン。二人の若々しい肉体美も必見。トム・クルーズの演技よりもリー・トンプソンの映画と言っていいほど可愛さ爆発。彼女役がピッタリはまっています。
ペンシルベニア州ってどこ?
好評連載NFLチーム紹介シリーズ第2弾。
前回はアメリカ南部の街テキサス州ヒューストンを本拠地とするオイラーズでしたが、今回は一路、北上。
アメリカ大陸の北東部に位置し、ペンシルベニア州ピッツバーグを本拠地とするピッツバーグ・スティーラーズを紹介しましょう。
冒頭の映画「栄光の彼方に」もペンシルベニア州が舞台となっており、スティーラーズのグッズが主人公の部屋に何個か置いてありました。こちらもチェックしてみてください。
まずはペンシルベニア州の位置から確認していきましょう。
ニューヨークの隣
かつては鉄鋼業で栄えた州南西部の街、ピッツバーグ。
五大湖沿岸工業地帯(デトロイト、シカゴ等)として習ったことがあるのではないでしょうか。
1900年代前半にはアメリカ国内の半分の鉄鋼を生産。当時の人口は50万人をこえ、全米でもトップテンの都市に入る成長を見せていましたが、その後の大気汚染やオイルショック、安価な輸入鉄鋼の影響などを受け鉄鋼業は衰退していきます。
現在では人口も30万人ほどに減り、ラストベルト(さびついた工業地帯)という不名誉な名前がついてしまっていますが、ハイテク産業や教育施設の都市として見事再生を果たしています。
そんな鉄鋼業をルーツに持つ街、ピッツバーグに生まれたアメフトチーム、スティーラーズ。
“スティールの男達”、“鉄の男達”でスティーラーズですね。
全米鉄鋼組合のロゴがベース「ピッツバーグ・スティーラーズ」
スティーラーズとは?
スティーラーズの歴史は古く、1933年に設立されます。
最初の名前はMLBに現在も存在する野球チーム「ピッツバーグ・パイレーツ」と同じ名前を使用。
8年ほどパイレーツとして活動しますが、その後公募によりスティーラーズに決定。
この名前で落ち着くかと思いきや、第二次世界大戦時に多くの選手が従軍したため、同じフィラデルフィア州のチーム、「イーグルス」と合併し「スティーグルス」。その翌年には「シカゴ・カーディナルス」と合併し「カードピッツ」と名前を変更した過去も。
文字通り2つのチームが合体した名前というのも珍しいと思います。
黄金時代は1970年代。
“スティールカーテン”と呼ばれた強力なディフェンス陣を擁し、スーパーボウルを連覇を含み4度制覇します。
その後成績は低迷し、70年代のチームと呼ばれた時期もありましたが、近年では地区優勝を何度も果たすなど、好成績を残しています。現時点でスーパーボウル8回出場6度制覇は歴代2位の好記録。
ファンも熱いぜ「スティーラー・ネーション」
スティーラーズのファンは“スティーラー・ネーション”と呼ばれ、地元ピッツバーグだけでなく、全米中に広がっていると言われています。
それというのも70年代、鉄鋼業が下火になりつつある中で、4度もスーパーボウルを制覇したスティーラーズは地元の唯一の希望の光となります。
しかし80年代に入り鉄工所が閉鎖になるにつれ、市民は転居を余儀なくされます。
地元の星、スティーラーズのファンのまま、全米各地に散らばったので、アウェイの試合でもスティーラーズファンには入場規制がかかる試合もあるほどだとか。
湘南あたりの風ではない「テリブルタオル」
そして忘れちゃいけない、スティーラーズの応援方式。
チームカラーの黄色いタオルを振り回す“テリブルタオル”。
様々なジャンルのスポーツの応援だけでなく、今となってはライブ会場でも見られるこの光景。その元祖がスティーラーズ。地元ラジオ局のアナウンサー発案というこの応援、なんと1975年から始まったそうです。ちなみにタオルは日用品として定着しているとの事。
60年代はこんな可愛らしいロゴマークも
アメフト発祥の地と言われているピッツバーグ。
肉のカーテンと言ったらキン肉マン。
鉄のカーテンと言ったらスティーラーズ。
これだけでも覚えて帰っていってください。
マニアックモノガタリ「ピッツバーグ・スティーラーズ」 終