二宮 エイドリアーン!
近藤 二宮さん、ロッキーを語り合うのはもう終わりましたから。
二宮 すみません、錦鯉の「こんにちはー!」みたいに、つかみで使ってしまいました。正月はいろんなチャンネルで映画の名作をやってくれるのでうれしいですよね。今回の映画は、1981年から日本でも公開された伝説のカーアクション映画と言っていい「キャノンボール」です。
近藤 カーレースなので、スポーツの範疇に入るだろうという二宮さんの判断ですね。
二宮 そうです。ただ何十年ぶりかにしっかり観ましたけど、カーアクションの部分が意外に少ないんですよね。
近藤 登場人物のバックグラウンドを説明するのが結構長い。
二宮 作品の半分の時間近くまでレースが始まらない(笑)。
近藤 ただ登場人物が凄い。主人公のバート・レイノルズに、「007」でジェームズ・ボンド役を務めるロジャー・ムーア、超有名エンターテイナーのサミー・デイヴィス・ジュニア、そして我らがジャッキー・チェン。
二宮 僕は中学、高校生くらいにテレビで観たのが初めてだったんですけど、覚えているのはジャッキーが主人公だと思っていたのになかなか出てこなかったこと。
近藤 脇役的な扱いでしたし、なぜか日本人の設定でしたよね。ジャッキー・チェンの名前で出ているのに。
二宮 使用した車がスバルのハイテク車っていう設定だったからですかね。
近藤 1980年当時アメ車は故障が多いけど、日本車は性能がいいみたいなイメージありましたもんね。
オープニングはカウンタックのカーチェイスが定番に。
二宮 多分、ジャッキーが出ていなかったら、僕見てないと思います。「酔拳」「蛇拳」とか見て、ジャッキーファンでしたから。近藤さんはいつ観たの?
近藤 実は1984年に公開された「キャノンボール2」を観たのが先なんですよ。
二宮 映画館で?
近藤 はい、小学生のときに父と観に行って、行列が出来ていたんですよ。それで父が仕事前だったからなのか、並びたくないんで指定席にするぞ、と。白い布が掛かったシートで、スタッフさんに案内されるんですよ。子供ながらに、指定席凄いな、と(笑)。
二宮 指定席で初めて観たのが「キャノンボール2」って、近藤さんにとってかなり思い入れのある作品じゃないですか。やっぱりジャッキーが好きで?
近藤 二宮さんと同じように「酔拳」とか「蛇拳」が好きでしたからね。「2」を観てからしばらく経って「1」を観た記憶がありますね。
二宮 じゃあ「1」のほうから言うとジャッキーのお気に入りのシーンあります?
近藤 車を運転するシーンをもうちょっと観たかったっていうのはあります。でもやっぱりアクションシーンかな。左右の相手に開脚してキックを見舞って、ズボンのお尻のところが破れるというのはいかにもジャッキーらしい。
二宮 基本的にはコメディタッチで、カーアクション自体少ない。結局、ジャッキーのカンフーが映画を引き締めたように感じましたね。相棒からの「カンフー映画じゃないんだぞ!」というツッコミにも笑えました。
近藤 ハーレー軍団とキャノンボーラーたちがケンカするわけですけど、ハーレー軍団のなかにいたのが「イージーライダー」のピーター・フォンダ。カメオ出演しています。
二宮 メッチャ贅沢な起用ですよね。僕的にはジャッキーとコンビを組むのが「ミスター・ブー」シリーズのマイケル・ホイというのも香港映画好きからするとちょっと贅沢感がありました。
近藤 これ20世紀フォックスと香港の映画会社の合作になるんですよ。
二宮 なるほど。ジャッキーにとっては記念すべきハリウッドデビューだったわけか。
近藤 この豪華メンバーのなかで二宮さんが好きだったキャラクターと言うと? どさくさ紛れにエイドリアーンはやめてくださいね。
二宮 ……。
近藤 図星かいっ!
二宮 いやいや、ちょっと迷ってたんですよ。カウンタックに乗るグラマラスな女性コンビもいいじゃないですか。ポリスに止められると胸のジッパーを下げて大目に見てもらうというコテコテのシーンも好きですし。うーん、でもやっぱり「007」のロジャー・ムーアかな。ボンドカーのアストンマーチンがカッコ良かったけど、結構三枚目で描かれていて。のちに「007」を観たら、ギャップがありすぎてファンになりましたから。
近藤 内容はハチャメチャですけど、いろいろと凄い映画ではあるんですよ。
二宮 あっ、僕もう一人好きなキャラクターいました。かなりマニアックです。
近藤 マニアックなところだと、ロールスロイスに乗ったアラブのファラフェル王家の王子とか。
二宮 さすがマニアックの人。ビンゴです。
近藤 でもそんなに印象の残るシーンありましたっけ?
二宮 ガソリンスタンドで給油したときに、対応したお姉さんを気に入って超高級そうな指輪を渡すんです。そして「後で迎えに来る」と。僕、コーヒー飲んでいて、思わず噴き出してしまいました。
近藤 女性を口説いたり、声を掛けたりというのがやたら多い映画ですよね。
二宮 俺たち何かカーアクションの話しましたっけ?
近藤 いや、全然(笑)。それがキャノンボールの醍醐味なのかも!?
2023年10月再公開