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エンタメ百科xマニアックモノガタリ 映画『ロッキー』

二宮 エイドリアーン!

近藤 のっけから、テンション高いですね~(引き気味&苦笑)。映画のロッキーシリーズを語るだけなのに、コラボ企画とはかなり仰々しいですね。「エンタメ大百科」の枠で良かったのに。

二宮 いやいや、主旨が分かっていないなあ。モノじゃないから近藤さんには申し訳ないんですけど「マニアックモノガタリ」のように、ロッキーをマニアックに語っていただきたいという願いを込めて。近藤さんはこの日の対談のために、DVDボックスセットを買ってもう一度観たとか。僕もそれぞれ2回以上は観ているから……いやロッキー5だけは1回だけか。また第一作から順を追って観ていきたいなあ。

近藤 ロッキー・バルボアのライバル、戦友であるアポロ・クリードの息子、アドニスの活躍を描く「クリード」シリーズを除いたロッキーシリーズということですかね?

二宮 そうしましょう!

近藤 私から簡単に説明させていただくと、ロッキーシリーズは全6作品。アポロに挑戦する「ロッキー」(1976年)、アポロとのリマッチを描く「ロッキー2」(1979年)、特攻野郎Aチームでも知られるミスターTが対戦相手に名乗りを挙げる「ロッキー3」(1982年)、そしてソビエト連邦からの〝刺客〟と戦う「ロッキー4」(1985年)、引退してこれぞと見込んだボクサーを育てようとする「ロッキー5」(1990年)までありました。

二宮 これで終わったかと思いきや。

近藤 そうなんですよ。どうも「5」はシリーズのなかで最低の観客動員数で、評価も高くなかった。そこで2006年に「ロッキー・ザ・ファイナル」が登場します。

二宮 「5」から16年後だから、どのような作品になるんだろうとワクワクした反面、大丈夫なのかなって思った記憶がある。

近藤 そのときの世界チャンピオンと60歳のロッキーがエキシビションで拳を交えるっていうストーリーですしね。

二宮 まあ、その話は後に取っておきましょうよ。

近藤 だから第一作からファイナルまで、40年掛けて一応完結しているわけですよ。

二宮 1976年って僕4歳ですよ。ファイナルのときは社会人になって10年以上経っていましたからね。本当に息の長い作品だね。近藤さんは僕の2つ下だけど、ロッキーシリーズにいつ出会ったんですか?

近藤 ドルフ・ラングレン演じるイワン・ドラゴと戦う「ロッキー4」ですね。映画館じゃなく、テレビで観ました。米ソ冷戦中で子供ながらにソ連の雰囲気ってこうなのかな、怖いなって思いましたね。ドラゴが「無表情のマシーン」みたいに冷たい感じで怖くて。最新科学を用いたトレーニングも、ロッキーとは対照的でした。先にドラゴと戦ったアポロが試合のダメージで亡くなってしまって、友のためにも勝つというストーリーは分かりやすい。熱くなって見ちゃいました。

二宮 ドラゴの奥さんがスポークスマン的な役割で、あまり話さない夫の代わりにメッチャ挑発してくる。ドラゴに負けず劣らず冷たい感じで、いい味を出していた。

近藤 演じたのはブリジット・ニールセンですね。でも確か〝演技ヘタすぎる賞〟みたいなものを評価として受けていたような。

二宮 マニアックな情報やなあ(笑)。それで言うと、この作品の後にシルベスタ・スタローンと結婚しているんですよ! 昔いつのタイミングで僕が知ったかは覚えてないですけど、声を挙げたほど驚きましたよ。

近藤 うわっ、それ知らなかったことがショック。まあ監督、脚本、主演と全部、スタローンがやるわけですからね、仲良くもなりますよ。ロッキーに負けて夫に愛想をつかすセリフもありましたけど、その後ロッキーに走ったとは。

二宮 2年ほどで別れちゃったらしいんだけど。何かでもドラゴ夫妻は、キン肉マンのウォーズマンと、そのマネージャーのバラクーダ(ロビンマスク)の関係がかぶるんですよね。

近藤 ウォーズマンはソ連出身ですもんね。マネージャーがコントロールをしていくという。

二宮 ウォーズマンは友情に芽生え、ドラゴは闘う喜びを知る。映画を観ながら、ウォーズマンを思い浮かべていました、俺。

近藤 かなり強引ですけど(笑)。

ソビエト社会主義共和国連邦 国章

 

二宮 近藤さんっぽく、何かマニアックな情報あります?

近藤 二宮さんに負けていられないですね(笑)。これは後で知ったことですが、僕はカメラを職業にしているのでカメラワークで言うとそれまでの作品と違っていました。ロッキーとドラゴがソ連で試合をする設定なので、中継画像っぽく試合を映している。「3」までは選手目線をまじえながらだったので、大きく変わっていました。

二宮 映画を観る人も、ソ連からの中継を観ているような。

近藤 そうです、そうです。ロッキーはこれまでアメリカ国内で試合をやっていましたから、作品としてのスケール感も大きかったように思います。

二宮 ソ連は1980年代後半からゴルバチョフ書記長のもとペレストロイカに入っていくんですけど、日本でもたとえばプロレスでミュンヘン五輪柔道93kg級金メダリストのショータ・チョチョシビリがアントニオ猪木と戦ったり、アマレス界のビッグネームだったサルマン・ハシミコフが参戦したり、ソ連の格闘技が日本でも注目されていくんですよね。

近藤 ボクシングにもその波がありましたよね?

二宮 そうそう。協栄ボクシングジムに勇利アルバチャコフコフ、オルズベック・ナザロフらが入ってきて、2人は世界チャンピオンになっています。「4」が新しい時代を予測していたような感じも受けました。

近藤 じゃあ今度は二宮さんとロッキーの出会いを教えてください。

二宮 フフフ、それでは語らせていただきますよ。

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2023年10月再公開

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