前回はeSportsとはなにか?について述べてきたが、今回はeSportsの展望について語っていきたい。
FPS(FirstPersonShuter)がeSports業界をリードしていると前回語ってきたが、その理由の一つとしてルールがわかりやすいのが特徴として挙げられる。FPSは主に銃を使って相手を倒したら勝ち、陣地を取ったら勝ち、爆弾を爆発させたら勝ち、などゲームモードによって勝利条件は異なるものの、『銃で打ち勝つ』が主軸となるゲーム性である。つまりは観戦しているユーザー側としても非常にゲームの流れも把握しやすいことが挙げられる。
日本での人気がある『ヴァロラント』『Apex』などはFPSの代表格だ。しかし、日本で人気があったとしても海外に目を向けると必ずしも同じゲームタイトルが流行しているとは限らない。海外では『CSGO』『COD』が人気であったりと国ごとに流行しているゲームタイトルが違うことも事実である。
本稿では日本で圧倒的人気を誇る『ヴァロラント』について取り上げ、国内のゲーム大会がどのような規模で行われているのかを取り上げていきたい。
非常に賑わった2022年大会
2022年は『ヴァロラント』の年であったといっても過言ではない。まだまだコロナが落ち着かない2022年6月に『ヴァロラントmasters』世界大会に向け日本代表を決める『2022 VALORANT Champions Tour Challengers Japan Stage2』がさいたまスーパーアリーナで開催された。2日間で行われた日本代表を決める戦いの観戦に2万6,000人を動員したのだ。試合は動画配信プラットフォームであるYoutube、Twitchでも配信をされ50万人以上に視聴されていたとも聞く。特筆するべき点としては、国内eスポーツ史上最大の観客動員数であったという点だ。
その2ヶ月後の8月には『2022 VALORANT Champions Tour – Champions』と呼ばれるその年の真のチャンピオンを決定する世界大会で日本のプロチームであるZetaDivisionが参戦。グループリーグ敗退という結果にはなってしまったが日本のプロチームが世界とどれだけ渡り合えるのか?という点で非常に今後に期待ができる大会となった。
日本国内に限った話ではあるが、今後もFPSでは『ヴァロラント』を中心にeSports業界が動いていくのは間違いないだろう。新型コロナウイルスが落ち着いてきたということもあり、eSportsに限らずその他の大規模イベントも増えていくと予想される。筆者も是非、イベントに足を運んで現地の熱気、現地の様子などをリポートできればと思う。
優勝賞金は?
さて、日本では圧倒的動員数を誇った『ヴァロラント』の優勝賞金が気になる方もいるかと思う。筆者も本稿を書くまで知らなかったのだが、『2022 VALORANT Champions Tour – Champions』の賞金総額は100万ドル(優勝チームは30万ドル)と少々控えめであった。
しかし、日本大会などの地域大会でも賞金は用意されており、ゲームリリースから2年間が経った『ヴァロラント』の賞金総額は2年間で延べ20億円を超えている。『ヴァロラント』のeSportsシーンはますます盛んになっており、賞金総額も増加していく傾向にあるので今後に期待したい。
と、賞金の話が出たので興味本位で他のゲームの賞金を調べてみたのでお伝えしたい。
他のゲームの優勝賞金
以前の日本国内では、賞金額が10万円であったりと非常に少なかった。ではなぜeSportsの賞金額はなぜ少なかったのか?それは景品表示法に抵触するのではないかという大会運営側の懸念から設定された金額のまま進んでしまったのが1つの理由としてあげられる。
ゲームを購入した人が有利(実際ゲームを購入しなければプレイすらできない)となる為、景品規制に当たるのではないのか?と思われてきたのが要因である。そういったこともあり日本ではeSportsの賞金は少ない、プロになっても儲からないというイメージが先行してしまった。
しかし、現状はそのようなことはなく消費者庁からもお墨付きを得ておりプロアマ問わず多大な賞金を得ることに問題がないと発表を行っている。
それでもまだ日本国内は世界と比べ賞金金額が少ないのはまだまだeSportsが浸透していない証拠だろう。
では、世界のeSports賞金額はどのようなものなのか?
世界で一番の優勝賞金がでるゲームがDota2である。Dota2はMOBAと呼ばれるジャンルでチームワークと戦略的な判断力が重要であり、試合の勝敗は個人の腕前だけでなくチーム全体の力量によって左右されるゲームである。毎年開催される「The International」という大会は、プロプレイヤーたちが最も熱望する大会の一つで、その賞金総額は常に莫大な額になっている。
「The International 2021」では、総額4,000万ドル以上の賞金が用意されており、優勝チームには1,800万ドル以上(20億円以上)が贈られた。過去にも、The Internationalの賞金総額は常に増加し続けており、プレイヤーたちはその高額な賞金を目指して日々練習を積んでいる。
優勝すれば20億円以上。なんと夢のある話だろう。
金額が大きくなればなるほど、プレイヤーも多くなるので非常に好循環であるのは間違いない。是非とも日本でも大きな賞金金額がでる大会を開催して欲しいものである。
eSportsの触りを紹介してきたがまだまだ紹介しきれないこともある。
昨今騒がれているメタバースなどはeSportsの延長線上でもあるのではないかと私は考える。各社メタバースに参画しては頓挫し赤字を垂れ流す。メタ社(旧フェイスブック)がメタバース事業に大きく投資はしているものの事業は大きく育ってはいない。それはなぜなのか?などは今後の記事にて紹介したい。
eSports最前線 おわり