二宮 カタールワールドカップ取材、お疲れさまでした。日本代表とクロアチア代表のラウンド16を撮影してからの帰国。日本代表と同じ便だったらしいですね?
高須 そうなんです。成田空港にファン、サポーターや、メディアの人がいっぱいいて、それほど日本も盛り上がっていたってことなんでしょうね。ドイツ代表に勝って、スペイン代表にも勝って、いい大会を見ることができて良かったなって思います。かなり疲れちゃいましたけど(笑)。
二宮 思った以上に、かなりの数の試合を撮影できたらしいですね。
高須 少なくとも直近の3大会(2010年南アフリカ、2014年ブラジル、2018年ロシア)は国土が広くて、違う会場へは飛行機を含めた長距離移動が多かったのでそこまで数をこなせなかったじゃないですか。でもカタールはすべての会場を地下鉄ないしはメディアバスで移動できる。ワールドカップの試合でここまで撮影をできたのは初めてですよ。
二宮 撮影は1日1試合どころか、2試合が普通だったとか。
15日間で22もの試合を撮影できたのはカタール開催ならでは
高須 カメラマンは1日2試合、取材申請のエントリーができるんですね。その日の第1試合と第3試合とか、第2試合と第4試合とか、そういうことが可能でした。ただ、逆に言うと、カメラマンの申請がかなりの数になってしまうので(申請が)通らない可能性がかなりありそうだと事前にメディアオフィサーからの説明があったんですよ。だからとりあえず、いっぱい申請しておかなきゃっていう感じでエントリーしていたら、開幕戦のカタール-エクアドル戦以外はスムーズに入れることができて。だからちょっと意外ではあったんです。
二宮 毎日2試合となると、かなりきつそう。
高須 相当きつかったですよ。もちろんワールドカップの取材に来ているわけですからありがたいことなんですけど、正直ハードでしたね。僕と部屋をシェアしているカメラマンもみんな同じ感じでエントリーしまくっていたので、一様に疲れていました(笑)。
二宮 それではまず取材の裏話として、日本のグループステージの初戦、ドイツ戦を振り返ってもらいたいと思います。
高須 いつもはメディアセンターから出ているバスで試合会場に向かうようにしていたんですね。スタジアムの周辺を歩かずに済むし、すぐにメディアセンターに入れますから。翌日の該当試合においてどの場所で撮影できるかというカテゴリーのチケッティングもあって、実はやることが多いんですよ。でもこのときは日本とドイツの試合だし、スタジアムの外の雰囲気も撮っておきたいなと思って、地下鉄でハリファインターナショナルスタジアムまで行きました。
「メトロ〜ディスウェイ♪」と歌うように教えてくれる案内人も大会を盛り上げてくれた
二宮 僕は2011年に優勝したアジアカップ以来、カタールには行ってないけど、地下鉄まで出来ているとは思わなかった。
高須 僕もリオオリンピックのアジア最終予選以来だから6年ぶりくらい。確かに地下鉄は衝撃的でしたね。改札までのアプローチがかなり長いのがちょっと特徴的で。早めに出来た駅は飲食店やお土産の販売店があったりして、新しい駅には多分これから出来てくるのかなって感じです。
シラフでも盛り上がれるのはラテンならではのノリ
二宮 テレビのニュースで観ていると、ハリファスタジアムは試合前からかなり盛り上がっていたような。
高須 いや、全体的にはそこまでじゃないんです。テレビカメラを向けられた人たちは盛り上がってましたけど(笑)。ワールドカップの雰囲気って、試合の2、3時間前からアルゼンチンサポーターとかメキシコサポーターとか、歌ってみんなでワイワイ盛り上がっているのが当たり前。そういうのがなかったのでちょっと拍子抜けでした。でもよくよく考えたら、カタールは公共の場での飲酒が禁止されていますから、スタジアムでビールを飲めない影響も多分にあったように感じましたね。
二宮 試合を簡単に振り返ると前半は防戦一方で何とか0-1で折り返して、後半開始に冨安健洋選手を投入して3バックに変更。攻撃的なカードをバンバン切って、堂安律選手、そして浅野拓磨選手のゴールが決まって逆転に成功します。高須さんは出発前「浅野選手がやってくれそうな気がする」と言っていたのを思い出しましたよ。
今大会の躍進は浅野拓磨のゴールから始まった
高須 (ゴールの前に)2本くらい外したじゃないですか。でもシュートを打つことが大事だよなって思いながら撮っていたし、やってくれそうな雰囲気は感じていました。トラップもシュートも、あんな凄いものを見せられるとは思いませんでしたけど(笑)。ゴールシーンも運よく押さえることができました。
二宮 試合後の様子も映像で流れましたけど、選手たちがスタンドに挨拶に行ってましたよね? カメラマンさんが取り囲んでいてちょっとカオス状態にも見えましたよ(笑)。
高須 あれは大変だったんですよ。カメラマンのエリアに選手たちのほうから入ってきたので、僕たちからしたら撮るしかない。カメラマンもテンション上がっちゃっていますからね(笑)。僕も板倉(滉)選手が吠えているようなシーンを撮ることができました。
二宮 日本で観てあれだけ興奮したんだから現地にいる人の興奮度は凄かったでしょうね。ルームシェアの人たちで乾杯したいのにできないのが、ちょっと残念だったとは思うけど。
高須 お酒はなくとも盛り上がりましたよ。アパートに戻ると僕が牛ステーキ肉を焼いて、プチパーティーみたいな感じでやりました。ノンアルコールビールで祝杯もあげましたよ。代表チームだけじゃなくて、僕ら一部のカメラマンチームも勢いづきました(笑)。
二宮 最高の夜だったわけですね。じゃあ次はカタールでの生活について話を聞いていくことにしましょう。