前回はスーパーファミコンの誕生した年を軸に、その時代のハードの歴史に触れました。さて、今回はお待ちかね。スーパーファミコン史上、どのスポーツジャンルが人気だったかを、ソフトの発売本数のデータを元に考察していきましょう。まずは、独自の判断基準でジャンル分けした調査結果をご覧ください。
アメリカンフットボールが大躍進。
全タイトル1447本(非公認ソフトは含まず)のうち、スポーツゲームにジャンル分けされたのは261本。ファミコンでは野球がダントツの1位でしたが、スーパーファミコンでは上位の差がなくなっています。それでは、各ジャンルを見ていきましょう。
首位奪還「モータースポーツ」52本
スーパーファミコンでは「モータースポーツ」が堂々の1位を獲得。クルマが45本。バイクが7本。モータースポーツというジャンルで分けているので、この集計には入っていませんが、スーパーファミコンで一番売れたソフトは『スーパーマリオカート』。日本国内382万本という驚異の本数。マリオカートのおかげで、レースゲーム は面白いと潜在意識に植え付けられたのでしょうか。また、バブル景気とともに巻き起こったモータースポーツブームも健在。「F1」の冠がついたゲームが多いのも納得します。
ちなみに“無冠の帝王”と呼ばれたF1四天王の一人であるナイジェル・マンセル。F1とインディカーを2年続けて獲得した実績はゲーム界でも、『ナイジェル・マンセル F1チャレンジ』、『ナイジェルマンセル・インディカー』としっかり2種類のゲームを出しています。
まだまだガンバリーグ「野球」47本
ファミコンソフトではダントツの1位だった「野球」。首位の座を明け渡すとともに、3位のサッカーや格闘技とほぼ変わらない数になりました。現在でも大人気の『ファミスタ』シリーズは『スーパーファミスタ』に名を変えて5シリーズ展開。同じく人気シリーズ『実況パワフルプロ野球』も1994年から参戦。また、実名ではないものの高校野球をテーマにした『スーパー高校野球 一球入魂』等も発売。タイトルだけで、青春の香りがムンムン。
やっと時代が追い付いた「サッカー」42本
1993年のJリーグ開幕により、サッカーブームが到来。「J」の名のついたサッカーゲームはもちろん多く、1994年のアメリカW杯の開催の影響もあってか、翌年にはスポーツゲームの中では最多の19本が発売されています。FIFA公認や、ナショナルチームの選択が可能であったりと、現在のサッカーゲームに着々と近づいている感があります。
プロレス全盛期でもある「格闘技」42本
「闘強導夢」読めますか?プロレスファンは東京ドームをこう書きます。格闘技ジャンルの内訳は、プロレスが31本。ボクシング6本、相撲3本。ちょっと異色なものとしてキックボクシング、テコンドーがそれぞれ1本ずつと続きます。ファミコンでは4本発売された柔道は0本という結果に。様々なスポーツに元気があったこの時代、プロレスゲームも『新日本プロレス超戦士IN闘強導夢』に始まり、大仁田厚のFMWや女子プロレスまで百花騒乱。ファミコンで大人気だった「キン肉マン」はシリーズ化するかと思いきや、わずか1本だけの発売となっています。
より詳細なコース展開「ゴルフ」19本
外せないジャンルのゴルフは19本発売。「ペブルビーチ・ゴルフリンクス」や「セント・アンドリュース オールドコース」といった海外の名門コースを舞台にしたゲームが目立ちます。今回調べていく中で、体感ゲームというものがほとんど見当たりませんでした。その中で、唯一見つけた「レーザーバーディー/Get in the hole」というソフトは今でいうARゴルフゲーム!小さなクラブをスイングすることで飛距離や球種をセンサーが判断するという優れもの。当時、ソフト込みで4万円近いバブル値を付け、残念ながらあまり市場には出回らなかった模様。もしどこかで見つけたら即買いのプレミアアイテムかもしれません。
ドリームチームも話題に「バスケットボール」15本
ファミコン時は5本ほどしか発売されなかったバスケットゲームは15本発売。「NBA」の名のつくものがやはり多く、1993年にマイケル・ジョーダンは引退しますが、その後もブームは終わることなく、続々と発売されています。1990年から少年ジャンプで「スラムダンク」が連載開始されているのも、バスケゲームの躍進の一つでしょう。
シリーズ定番化「アメリカンフットボール」12本
バスケットボール同様、こちらも「NFL」の名のつくゲームが多数。アメフト好きの筆者としては上位にランクインしてくれたのは嬉しい限りです。他のスポーツゲーム同様、実名でプレイできるゲームは没頭感が違いますね。
ソフトにロック機能が付いていたの知っていました?
モータースポーツブーム、Jリーグ開幕。スポーツ界全体に活気があった90年代前半。1995年には野茂英雄がメジャーリーグデビューを果たすなど、日本人が世界に進出して行ったのもこの頃。スーパーファミコンの中でも、世界を舞台にしたスポーツゲームが増えてきたと思います。
ただ、全体的にはファミコン時代から続く、シリーズの後継といった作品が多く、画期的なスポーツゲームが見当たらなかったのが率直な感想。前回でもお話しましたが、一番売れたソフトが38万本と、ミリオンヒットがなかったというのもファンとしては寂しいものです。(あの、ファミコン史上最凶と言われた『たけしの挑戦状』ですら80万本売れています!)
次回はかなりマニアックなソフトをご紹介!
マニアックモノガタリ「スーパーなファミリーのコンピューター vol.02」 終
2022年11月公開