「無駄に生きるな、熱く死ね」
みなさんご存知、映画「エニイ・ギブン・サンデー」(1999年)からの一言。
「プラトーン」でも有名なオリバー・ストーン監督作品。無骨なイメージそのままに、アメリカンフットボールの裏側を描写した話題作。「ゴッドファーザー」でお馴染みのアル・パチーノの熱い演説はもちろん、試合中の選手目線での迫力あるカメラワークは必見です。また、アメフト専門の役者ではありませんが、前回ご紹介した「パニック・イン・スタジアム」の警察役、チャールトン・ヘストンがこの作品ではコミッショナー役で出演。キャメロン・ディアスは当然かわいい。
さて、あまりドロドロとした裏側ばかりを紹介してしまうと、純粋にアメフトを楽しめなくなってしまうので、コロナ禍の前にロサンゼルス で行われたNFLのひと試合のプチ観戦記をお届けします。
想像通り、想像以上の「ザ・アメリカ」
長年の夢だった本場のアメフト観戦。スタジアム周辺には色とりどりのキッチンカーが並び、お肉の焼けるいい匂いが漂います。試合前にはチアリーダーがダンスで場を温め、お決まりの国歌斉唱には戦闘機が飛んでくる演出(普通の試合なのに!)に感動。ではじっくり、試合を堪能するぜー!と思っていたのですが、これがなかなか忙しい。
アメフトはワンプレイ毎に作戦会議があり、プレイが止まります。この時計が止まる事で「緊張感が途切れて嫌」という声もあるからなのか、この間、スタジアムのDJが「タオルを回せ!」「ブーイングしろ!」と、ひっきりなしに試合を盛り上げます。
売っている肉もソーセージもでかい!
「イェーイ!パンプキーン フゥ〜!!」
場内にこだまするパンプキンコール。パンプキンという名前の選手がいいプレイをしたわけではないんです。「アップルパイとパンプキンパイ、どっちが好き?」巨大モニターに突然出されるアンケートの結果、パンプキン派の勝利に場内が湧きます。
もし、このアンケートを日本でやっても、「へえー、アップルパイじゃないんだー」ぐらいでそんなに盛り上がらないでしょう。実際、私も質問が出された時は「あんまりなんとかパイって食べないし、そもそも温かいフルーツって・・・、酢豚にパイナップルを人類で最初に入れたの誰よ?」とゴニョゴニョ考えていましたが、結果発表時の周りの異様な盛り上がりにつられて食べた事のないパンプキンパイの名を叫んでいました。
どっちがお好み?
私がアメフトにハマっていたのは高校生の時。もちろんテレビの向こう側の世界。当然アメリカまで見に行こうとは思った事もありませんでした。大人になった今となっては海外に行くことは簡単ですし、インターネットで現地のチケットが日本から買える世の中。デジタルツールによって世界の距離が縮まっているのを改めて実感したアメフト観戦ツアーでした。
今月末はハロウィン。
これから毎年カボチャのモニュメントを見る度に、今回のアメフト観戦を思い出し、心の中で叫ぶでしょう。
「イェーイ!パンプキーーン!!」
本場チアリーダー と一緒に日本人ダンサーも!
マニアックモノガタリ「アメフトって何?」 終
2022年10月公開。