「うしろー!うしろー!!」
前回の「マニアックモノガタリ」ではF1のタイヤ交換、「ピットストップ」についてお話ししました。
今回のテーマはズバリ、カメラマンもご愛用「キャスター付きキャリーバッグ」のタイヤを交換!です。
今となっては市民権を得ているキャスター付きバッグ。通称「コロコロ」。「ガラガラ」という人も。海外用の大きいスーツケースは昔からありましたが、最近ではビジネスシーンでも多く見受けられます。
カメラマンも、もちろん例外ではありません。
とくにスポーツを主に撮影するカメラマンは、バズーカと呼ばれている超望遠レンズを現場まで運んで行きます。機材はそれだけではないので重さもそこそこ。長距離移動を考えると、リュックタイプのバッグよりはコロコロタイプの使用率はかなり高め。
筆者が購入した当時、だいたいバッグのタイヤはプラスチック製。
たまに使用する旅行用などと違い、毎日のように使っていたので、何年かでたいてい割れていました。あと、プラ製の硬いタイヤをお持ちの方分かると思いますが、音がうるさくないですか?
路面状況が悪くけっこう音が大きい場合、前を歩いている人が「何が後ろから迫っているんだ?でかい台車か!?」と驚きの顔をして道を譲ってくれることも何度かありました。
今回紹介する交換の方法は、主に2輪タイプ。タイヤが比較的大きいものになります。
最新型の製品はプラスチックではなく、軟質ゴムで静音のものが最初から付いていることも。
その場合、無理に変える必要はないと思いますが、ネジが外れたり、他人と区別するためにタイヤの色を変えたりする時などに参考にしてください。
シンクタンクは76mm83A、ペリカンは59mm84A。
タイヤじゃないよ、ウィールだよ。
さて、いっちょ自分で交換するべ!となったら、まずはインターネットで調べますよね。検索ワードは「スーツケース タイヤ交換」、または「キャスター交換」ではないでしょうか?
これでもいろいろヒットしてくるのですが、だいたい「市販のタイヤ交換キットを購入して交換しましょう」ぐらいしか出てこないかと。
(4輪の小さいタイヤの場合は、この方法がベストです)
ではどうすればいいか!?
マニアックなおすすめは「インラインスケート用のタイヤ」との交換。そして、このタイヤの呼び方が「ウィール」となります。なかなか一般的な呼び方ではないし、スーツケース等のタイヤと、インラインスケートのウィールのサイズがピッタリ合うなんて、学校では教えてくれなかった。
このウィール(ややこしいのでタイヤと呼びます)のサイズはおよそ50mmから100mmまで。タイヤの柔らかさも数値化されており、詳しくは以下の図を参照にしてください。
インラインスケートは両足で6~8個のタイヤを使います。セット売りが通常なので、まとめて購入し、家中のタイヤを交換するもよし。バラ売りしているお店もあるみたいなので、お好みの色、サイズ、硬さを選んでみてください!
回る回るよ「べアリング」は回る
ここまでだったらよくある話。こちらとしてもマニアックの看板を背負っていますので、SPOAL読者を、女性誌で言うところのワンランク上のステージへといざないましょう。
インライン用のタイヤに交換を決めたとなると、「ベアリング」というものが必須アイテムになってきます。(インラインスケート用タイヤはベアリングがないと本体に取り付けられません。)長くなりましたが、今回で一番言いたいところはここです!
ベアリングとは、日本語で言うと「軸受」。
簡単に言うと、なんか真ん中で上手い事回ってくれている物。
タイヤでの検索ワードはインラインスケートでしたが、ベアリングではスケートボードに。
複雑になってすみませんが、「スケートボード ベアリング」のほうが多くヒットすると思います。
筆者使用のベアリング。ABEC9が最も滑らか。
滑りやすさの規格など、これまた様々あるのですが、今回はバッグを引っ張るだけなので詳細は割愛します。値段や色などで決めてみてください。筆者もいろいろ試しましたが、バッグを転がすだけでは、正直明確な違いはわかりませんでした。
「本当にそんなに違うもの?違いがわからないんだったら変えなくてもいいんじゃない?」と疑問をお持ちだと思います。
スケボー用の規格の中ではあまり違いはありませんが、バッグに元々付いていたものとは雲泥の差が。
元々のタイヤ、ベアリングセットと、両方交換したセットで、滑りやすさ、回りやすさの違いを以下の動画で見比べてみてください。
左)両方交換 右)標準装備のセット
キャスター付きキャリーバッグの魔改造、お分かりいただけたでしょうか?
ざっくりした手順は以下の通りです。
1.「インラインスケート ウィール」と検索し、お持ちのタイヤの大きさと同じものを購入。
2.「スケートボード ベアリング」と次に調べ、お気に入りの滑らかさを選ぶ。(ウィールとセットで販売されている事も。)
3. 幅の調節はホームセンター等で売っている「ワッシャー」で。
自宅でのピット作業は「秒」では終わりませんが、カラフルなタイヤもたくさんありますので、自分のバッグに合うものを是非見つけ出してください。
静かで滑らかなバッグを転がせば、もう驚きの顔で振り向かれる事はなくなり、あんなに重たかった荷物が、気持ち共に軽くなってくれる事でしょう!
「カメラマンのこだわりギアシリーズvol.02 タイヤ交換」 終
2022年9月公開