スニーカー界に旋風を巻き起こす(予定の)チーム、「Forefoot」。その最後の仲間は、実はこの『SPOAL』にもとても縁が深い人でした。
ご存知の通り『SPOAL』はその作品性にこだわっており、映画のポスターのように一つ一つのシリーズはクリエーティブを作っています。高須カメラマンや近藤カメラマンが撮り下ろした写真に入れるタイトル一つとっても、その作品にふさわしいワードアートで作っています。
もうお分かりかもしれませんが、私がForefootのデザイナーとして迎え入れたかったのはこの『SPOAL』のクリエーティブデザインをずっと手掛けてきた方でした。本業は私の前職と同じく広告代理店でクリエーターとして活躍しているのですが、社外でも様々な活動をしています。『SPOAL』の仕事もその一環で、私のスニーカー記事のデザインも多々手掛けてくれました。
年齢は私よりも少し上なのですが、物腰が柔らかくそれでいて仕事の芯がしっかりした方だったので、とても信頼していました。それに、相談してもいいものはいい・悪いものは悪いと言ってくださる方だったので、この話をしてOKであればそれは良いものなのでは?というリトマス紙的役割も期待しつつ…
Forefootチーム、正式始動!
「え、面白そう!是非やらせてください!」
こちらが気にすればするほど、緊張すればするほど、相手からの返答とのギャップがすごいのはいったい何故でしょうか。
拍子抜けするほどあっさりと最後のピースが埋まり、はじめに必要だと思った役割を担えるメンバーがこれですべて揃いました。2020年夏、最大に嬉しかったことです。
こうして2回目のチームミーティングからデザイナーも加わり、チームが正式に始動することとなりました。初めて顔を合わせるデザイナーとコーディネーターが挨拶を交わし、早速本題へ。今日の議題は、チーム名「Forefoot」のロゴデザインです。前回のミーティングで決まったネーミングや、そこに込めた想いなどをデザイナーへ伝えました。
「いいロゴ、作ります!」と彼の反応も上々で、みんなも一安心。
大事な話が済み、残る時間はチームの親交を深めるためのアイデアのブレインストーミングタイムにしました。切羽詰まって考えるのではなく、気軽な気持ちのときに気軽な気分でやってみたいことや作ってみたいものを話し合うのが狙いです。それに、得手してこういったシチュエーションのほうがいいモノって生まれやすかったりするのであります。
「今、ヒールプロテクターは狙い目だと思うんです」
中国のスニーカー市場に精通したコーディネーターが放ったこの一言、結果としてこれがチームの運命を大きく決めるものとなりました。
今は押しも押されぬスニーカーブーム、定価1-2万円のものが平気で10万以上で取引される世の中です。しかし、スニーカーは永遠に履き続けることができるわけではありません。革の破れや、ソールの加水分解など、経年劣化はついてまわります。せっかく手に入れた価値あるスニーカーですから、少しでも長く少しでも綺麗に履きたいと思うのは当然のことですよね。
そんなスニーカートラブルの中でも最も悩まされる問題の一つ、それが「カカト削れ」でした。大人気のエア・ジョーダン1やダンクのような直角のソールのスニーカーは、歩くごとに削れていきます。特に日本人はカカトを引きずって歩く人が多く、スニーカーブームとの相性は非常に悪いのです。コーディネーターの方が目をつけたのは、まさにこのポイントだったのです。
「それ、売れるんじゃ….」
と全員が感じるほどの盲点でした。
既に中国のマーケットではこのような製品が安価に流通し始めていることもあり、事はは一刻を争う状況でした。コロナ禍で渡航制限下にある今が、チャンスだ。
中国の製品を委託販売で国内販売するような小さな目線は持たない。目指すはあくまでも、メイドインジャパンのオリジナルバージョンだ。
それはまた、日本代表としてNIKEからスニーカーを全世界で販売した宅万さんのアイデンティティでもあり、チームが目指す方向とも合致したアプローチでした。こうして2回目のミーティングでプロダクトのアイデアがでたところで、会はお開きに。チームの最初の事業は、Production(ものづくり)になりました。
いざ実現に向けて動くのみ!
2020年夏、ここからForefootの戦いがはじまったのでした。
そして後日、チームのロゴも無事完成。
Forefootというワードでスニーカーを作り、それを前足で踏み込むよう斜めにレイアウトした素晴らしいデザインが誕生しました。
チームの基調カラーは、グレー。
スニーカー界は、みんな違ってみんないい。白黒なんて、付ける必要はない。みんなに使ってもらい、みんなの役に立てるようなチームになる!
そんな決意をこのロゴとグレーに込めて。
2021年12月公開