まずはチームの顔となる人として、NIKE ON AIR日本代表であり「AIRMAX1 TOKYO MAZE」のデザイナーである宅万勇太さんを迎え入れることがミッションになりました。
これまでに取材でもお世話になっておりましたが、真剣な仕事の相談ははじめてのこと。なんとしても口説き落としたいところですが、一体どんな反応になるのでしょうか?
そして当日。
時間を頂き、自分の熱意から、ビジネスのアイデアや勝算までとにかくありったけの想いを伝えました。
「やろうよ、おれもちょうどチャレンジしたかったから。」
その答えは意外なほどあっけなく、そして最高の内容で戻ってきました。宅万さんもまた、自身がデザインしたモデル「AIRMAX1 TOKYO MAZE」の発売から一気に界隈のスターダムを駆け上って久しく、3年経った今他にもできることをやりたいという想いがあったのだそうです。
つくづく、タイミングというものは大事だなと思いました。もし一歩でも遅かったら、他の人がチャレンジに飢えていた宅万さんに声をかけていたかもしれません。そしてさらに嬉しいことに、宅万さんからチームのコーディネーターに最適な方を紹介してもらいました。大阪エリアを拠点に海外から商品を仕入れて国内のショップに卸すバイヤーです。中国のスニーカー市場にも精通しており、スニーカー界でビジネスを手掛けるにあたってはこれ以上心強い存在はいません。
実はその方は、私が以前に一度東京・銀座の阪急メンズ東京でスニーカーのイベントを手掛けた際にも協力してくれ、面識はありました。運が良かったのは、そのイベントに宅万さんもまた巻き込んでいたこと。そこで出会ったお二人は意気投合し、その後も親交を深めていたそうです。
まさに一挙両得とはこのこと。
こうして宅万さんへのアタックを通じ、チームに必要だったエースとコーディネーターが一気に揃う形となりました。
チーム始動、その前に…
こうして3人のチームになったのが、2020年春先のことでした。当時はコロナウイルスの猛威が世界中にはびこっており、東京と大阪にそれぞれ拠点を構えるメンバーのコミュニケーション手段はオンライン会議ツールのZOOMでした。
「ZOOM飲み」なんて言葉も流行ったくらい、コロナ禍において普及が進んだツールではないでしょうか?仕事だけでなくプライベートまで、今まで気軽に会えていた人たちとのコミュニケーション方法は新しい世界に突入しつつありました。
まずはじめのチームミーティングで話し合ったのは、チームのミッションや展望でした。スニーカー界の中で、あらゆる活動がしたい。そんな思いは全員が共にしていたので、
Production:モノをつくって売る
Planning:アイデアを出して売る
Partnership:協業してビジネスを作る
とわかりやすく3つの「P」をキーワードに設定してみました。
事業の柱は一つでは足りません。すべてが繋がり、すべてが支えになるような構造がベストだったので、この設定はすごく良いと思いました。
チームの骨子が決まり、いよいよどんな計画でこのビジネスをスタートさせていこうかという話に移ろうかというその時、
「チーム名って決めたほうがいいんじゃない?」
という声が。
確かにそれはそうだ。今後いかなる事業を展開しても、その認知の中心となり得るのがチーム名もといブランド名です。それは誰にでもわかりやすく、そして記憶に残りやすいものでなくてはいけません。
第一回ミーティングの残り時間は、みんなでチーム名のアイデアを出し合うことにしました。それぞれ思い思いのネーミングを出していく中、私は悶々と考えていました。わかりやすくて、ロゴにもしやすくて、それでいてチームのキャラクターをしっかり体現するコトバ。いったいなんだろう。
アイデアをひねり出すという行為は、広告代理店時代からのルーティーンワーク。これは決して運に頼ってはいけません、自分の頭の中の引き出しの開け方でいくらでも確率は上げることができるのです。
スニーカーにまつわる言葉=足
ロゴにしやすい言葉=英語
チームを体現する言葉=前向き・前進・挑戦
こんな感じでブラッシュアップした先に残った言葉、それが「forefoot」でした。和訳すると前足という意味ですが、スニーカーにしっかり関連していますし、前向きな意味合いもあります。そして1ワードなので、ロゴにもしやすそうでした。最後にこの市場含め、同名ブランド・サービスが無いかだけ確認し、ここもクリアできました。
「うわ、それすっげえいいじゃん!」
チームメンバーも大絶賛。
なんとか面目躍如することができました。チームの顔となる人がいて、それを実現できる人脈を持った人がいる中で、自分ができること。誘った以上は全力でそれを追い求めなくてはいけないという覚悟だったので、このミーティングは自分にとっても勝負でした。
こうしてチーム名は「Forefoot」に決定。
大きな収穫があった、1回目のミーティング。そしてもちろん宿題も…
みんなで決めたこのチーム名を、最高のロゴにできる人。
チームが手掛けるプロダクトを、しっかりデザインとして伝えられる人。
そう、我々Forefootチームのラストピースであるデザイナー探しです。実はこのポストには既に目星を付けておりました。それも最高のキャストを。後はこの船に乗ってくれるかどうかです。
いざ、最後の仲間のもとへ!
2021年12月公開