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エンタメ百科xマニアックモノガタリ 映画『ロッキー』VOL.2

二宮 エイドリアーン!

近藤 もう叫ばなくていいです(笑)。

二宮 つい、出ちゃうんです、すみません(笑)。出会いですよね。第一作の公開から随分経って、中学生のときにテレビで観たはず。感動しまくりましたね。後に僕がボクシング好きになる一つの要素になったのは間違いないです。ペットショップで働くエイドリアンを好きになって無名のボクサーが世界チャンピオンに挑戦するというストーリーにも惹かれたし、必死にトレーニングしていく姿、そして迫力あるボクシングシーン、耳に残る音楽……。完璧にやられましたね。

近藤 好きなシーンは?

二宮 エイドリアーン!

近藤 最後のシーンね。聞いた僕が馬鹿でしたよ。

二宮 怒らないで(平謝り)。ちゃんと答えます。子供ながらに超インパクトがあったのは、ジョッキに生卵を入れて一気に流し込むシーン。当然、やりましたよ。1回ですぐやめましたけど。フィラデルフィア美術館の階段を駆け上がっていくのも、部活の階段トレーニングで真似ていましたし、相当に影響を受けています。

生卵はロッキー ゆでたまごは板東英二

 

近藤 真面目な話をしますと、ちゃんと練習をしなきゃ強い者には勝てない。努力しなきゃ夢はつかめないみたいな教えがありましたよね。

二宮 僕も学びました。努力、友情みたいなところは少年ジャンプ、ロッキー、そしてジャッキー・チェンでした。

近藤 ジャッキー・チェンですか?

二宮 とにかく僕、ロッキーに出会う前は「酔拳」が好きで好きで。才能はあるけど本気で取り組まない→鼻を折られる→名伯楽のもとで鍛錬する(音楽もアゲアゲに)→メッチャ強くなる。この好物パターンがロッキーにもありましたから。

近藤 分かるような、分からないような(笑)。ただ、このロッキーがボクシングに関心を持つ一要素だったとなると、将来の仕事にもかかわっているという……それって凄いことですね。

二宮 ロッキー・バルボアを、実在するボクサーだと勘違いしていて「ボクシング世界チャンピオン列伝」みたいな雑誌を高校生になってから買ったんですよ、確か。そうしたらロッキー・マルシアノという無敗で引退した伝説のヘビー級チャンピオンがいて、イタリア系アメリカ人で好戦的なファイトスタイルだと。ああこの人をモチーフにしたんだなと理解しましたよ。

近藤 調べたり、興味を持ったりするきっかけを与えたくれたわけですね。

二宮 近藤さんは第一作にはどのような感想を?

近藤 二宮さんが言ったトレーニングのくだりは印象として強いですね。あとはやっぱりアポロの存在。背広を着た紳士のイメージで、でも試合になったら星条旗の入ったシルクハットやトランクスでド派手ないで立で。スポーツってエンタメの要素が大事なんだなって。

二宮 僕はそれを1984年のロサンゼルスオリンピックで初めて知ったクチ。空から人が降りてくるなんてスゲエって。アメリカのプロスポーツはこうなんだよって、その前にロッキーという作品が教えてくれていたんですよ。

ドン・フライのパンツでもおなじみ、スターズ&ストライプス

 

近藤 今、ボクシングを書く立場になってみて、ボクシングシーンについてはどう思います?

二宮 以前近藤さんと話をしたジェイク・ラモッタをロバート・デニーロが演じた「レイジングブル」はリアル志向でしたが、ロッキーはエンタメ志向が強いですよね。殴るか殴られるかで、ほぼディフェンスが機能してない。それに普通、ヘビー級のパンチは一発いいのが入ったら大体終わりですから。そこは割り切って観たほうがいい。ただ、アポロ役のカール・ウェザースも元NFLのアスリート。言うまでもなく2人のファイトには迫力がありましたよ。

近藤 あのころは15ラウンド制だから、あの打ち合いをずっと続けるなんて持ちませんよね。ただ「レイジングブル」はすべてのパンチの音が違っていて、スイカを叩いたり、肉を叩いたり、組み合わせたりと凄くこだわっていた。ただロッキーシリーズは、どれもバシバシ系の音で、そこは迫力重視っていうことだったんですかね。どちらが良い、悪いではなくて。

二宮 じゃあロッキーはリアル系じゃまったくないのかと言ったら、そうでもない。試合そのものの表現方法は別として、たとえば老トレーナー、ミッキーとのトレーニングには説得力がありました。さっき近藤さんが言ったように、それくらいガンガンやらないとダメっていう世界であることはリアル。ミッキーもいいですよね。元世界チャンピオンという肩書きで、ロッキーのレベルアップに説得力を持たせている。エイドリアンの兄でマネージャーのポーリーはダメな人間だけど、ミッキー役を演じるバート・ヤングにはボクシング経験がある。ヤングにもちょっとした演出のアイデアとかもらっていたんじゃないかって勝手に想像しますけど。

近藤 海兵隊でやっていたみたいですね。ポーリーとミッキーは、極めて重要な役回りでしたね。第一作は、今観ても凄く面白いですよ。ただロッキーの声が聞き取りにくいのが、気になるくらいで。

二宮 アポロとのリマッチになる「2」も、ミッキーが天国に旅立ってからミスターT演じるクラバー・ラングにリベンジする「3」も面白く観ましたよ。

近藤 「3」で言えば、異種格闘技戦でハルク・ホーガンが出てきた。体の大きさの違いに驚きましたね。ホーガン、でかい!って。

二宮 僕も同じことを思いましたよ。

近藤 「3」でマニアックな情報を一つ!

二宮 おっ、振るの忘れてた(笑)。

近藤 「2」と「3」ではスタローンの肉体のつくり方が違うんですよ。

二宮 まったく知らなかった情報!

近藤 「3」では併行して「ランボー」も撮っていたので、凄く引き締まっているんです。

二宮 全然、気がつかなかった。

近藤 あとマニアックでも何でもないんですが、名曲「アイ・オブ・ザ・タイガー」はこの「3」からですね。

二宮 第一作からじゃなかったんだ。もうね、いろいろと記憶が混ざり合ってます(笑)。

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2023年10月再公開

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