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しぶさんぽ x 恋するスニーカー VOL.2

都心のど真ん中にスポーツ施設、四ッ谷界隈を歩く

スニーカーの魅力を公私にわたって探求する山手渉編集者の手引きで生涯最高の高性能シューズ「SALOMON(サロモン)」の「XTー6」を手に入れたSPOAL編集長、渋谷淳は散歩の相棒、近藤俊哉カメラマンを伴って早速“試し歩き”へ。シューズを手に入れた原宿のatmos BLUE(アトモスブルー)表参道店から向かった先は四ッ谷だった。

本日の散歩は四ツ谷駅からスタート

 

せっかく“しぶさんぽオフィシャルシューズ”を手に入れたのだから、履き心地と歩き心地を存分に味わいたい―ということで今回は足にもシューズにもそれなりに負担のかかる「坂」がテーマ。そこで東京の坂を調べるべく、「TOKYO坂道 散歩なび」(坂の街研究会編)というKAWADE夢文庫の一冊を購入し、紹介されている都内の選りすぐり18コースのうち「四谷コース」を選んだ次第である。

JRを乗り継いで四ツ谷駅に到着すると赤坂口を出て外堀通りを南へ。「ここは東京マラソンのコースなんだよな~」なんてとつぶやきながらふと道路と逆方向に目を向けてみると、工事現場の入り口のような金網の扉が現われ、そこにはこんな看板が貼り付けてあった。

よつや運動広場
この広場は高齢者の運動(グランドゴルフ及びゲートボール)のための一時開放地です。
一般の方への解放はしていません。

いきなり目に入る広場の入り口

 

こんなところに運動施設が…。入り口から運動場までは道になっているようで奥の様子はうかがえない。すると物知りの近藤カメラマンがさりげなく教えてくれた。

「四ツ谷駅の周りにはいくつか運動施設があるんですよ。東京メトロから見える逆側のグラウンドは上智大学のグラウンドですね。私は昔、四ツ谷駅近くのテニスコートで会社の同僚とテニスをしたものです。いや、20代のころの話ですが…」

微妙に照れる近藤カメラマン。ラケットを小脇に抱え、同僚とともに弾む足取りでテニスコートへ向かうアフター5―。いや、近藤さん、すごくいいと思うんですけど、確かにそういうイメージはちょっとないかもです…。

このよつや運動広場、調べて見ると新宿区が運営している。説明によると「四ツ谷駅の西側に位置し、周辺から一段低く、周囲が樹木に覆われた運動施設」だそうで、使用を希望する場合は新宿区みどり公園課にご相談くださいとのこと。新宿区のホームページでは一般のスポーツ施設に分類していないので、高齢者向けの特別な施設なのかもしれない。

迎賓館の正面で。建物の外は撮影可

 

さて、いよいよ今回のテーマである坂へと足を伸ばしていこう!と思った矢先、迎賓館を正面に見据えたポジションで、近藤カメラマンから珍しくコースに関する提案があった。

「あれ、迎賓館、きょう公開日ですね。ここ、昔は一般の人は入れなかったんですけど、数年前に公開されてからはけっこうな人気で、最初のころは行列ができていたそうですよ。ちょっと予定にはなかったですけど、どうですか、行ってみますか?」

迎賓館赤坂離宮とスポーツとの接点

迎賓館の正式名称は迎賓館赤坂離宮。海外の国家元首や皇族といったトップ級のセレブが来日した際に、賓客をもてなすための施設である。国宝にも指定されている迎賓館の一般公開が始まったのが2016年のこと。本来の目的に使われることも多く、ゆえに公開される日は限られるらしい。

「では、せっかくなので寄っていきましょう」

近藤カメラマンの提案に乗っていざセレブの館へ! 混んでいるのかと少し心配したけれど、平日の昼間ということで参観者はちらほらといった程度だ。私たちはバッグからパソコンを出さなければいけないX線荷物検査装置と、金属探知機で敷居の高さを思い知らされ、参観料1500円(本館と庭園が見学できる)を払って館内に足を進めた。

迎賓館の庭園を歩く

 

さて、「しぶさんぽ」だけに迎賓館とスポーツの接点は抑えておきたいところだ。実はこの館、数ヶ月前に国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長の歓迎会が開かれて注目を集めた。世はコロナ禍で、五輪開催に反対の声も多い中、「歓迎会なんてけしからん!」という批判の声が挙がったことを記憶されている方も多いのではないか。

歓迎会の是非はここでは置いておくとして、もう一つ迎賓館とオリンピックの関係を記しておきたい。入り口でもらった資料を見てみると、前回の東京オリンピックが開催された1964年の3年前、この建物に東京オリンピック組織委員会の事務所が置かれ、オリンピックが終わるまで組織委員会の活動拠点になったのだという。

もともとこの建物は昭和天皇の住居となるなど皇族が使用していたが、戦後の1948年に内閣、国会の公館となることが決定し、その後は国立国会図書館などが入っていた。政府が国賓の接遇施設として赤坂離宮を改修して迎賓館に充てると決定したのが63年で、迎賓館の開館が74年。こうした時代背景から、1964年のオリンピック組織委員会もこの建物に入っていたのである。

さて、館内見学では大きな広間、豪華なシャンデリア、細部にいたるまで意匠を懲らされた壁や手すり、ドアノブなどを見ることができた(残念ながら館内撮影は禁止)。私たちは束の間のセレブ気分を味わうと迎賓館に別れを告げ、ようやく今回のテーマである坂に向かったのだった。

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2021年10月公開

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