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スケボーのおはなし Season3 VOL.2

———男子だけでなく、オリンピックでは女子スケートボードもパーク・ストリートともにメダルラッシュでしたよね。この躍進についてはどのような印象をお持ちでしょうか?

女子に関しては、男子よりも世代交代がオリンピックでハッキリしたんじゃないかなと思います。僕がそんなに日本でも海外でも目を通していなかった選手が出てきたりして。今回の試合会場のハンドレール(手すり)って、プロの目から見てもかなり大きいサイズだったと思うんです。それを女子の選手たちがあれだけ攻めていたというのはビックリしましたし、本当にすごいなと思いました。

———手すりのサイズが大きいというのは非常に興味深いご意見です。スケーターの方からみて、有明アーバンパークのコースって難しいんでしょうか?

かなり難しいと思います。僕の周りにもスポンサーがついているスケーター達がいるんですが、彼らと話していても「あそこはデカイよね」って。しかもそれを朝9時からやっていたわけじゃないですか。変な話、普通だったら寝起きくらいの時間であのコースに入るんですよね(笑)

———先ほど世代交代というお話がありましたが、女子はストリート金メダリストの西矢椛選手が13歳、銅メダリストの中山楓奈選手が16歳。そしてパーク銀メダリストの開心那選手は12歳と確かに若いですよね。

やっぱり僕がスケボーを始めた10年前よりもスケボーパークが増えてきたことは大きいと思います。施設や設備が整ってきたことで、スケボーを始められる年齢も下がってきたのかなと。いきなり大きいセクションを大会でやるなんて無理なわけで、しっかりその練習ができるパークが増えてきて、そこで小さいときから練習できるようになったということが要因なんじゃないかなと思います。

オリンピックブラジル代表の着用ユニフォーム!

 

———そしてオリンピックのスケートボードといえば、この話も聞かないと。プロスケーター瀬尻稜さんの解説がとても話題になっていましたよね。「ゴン攻め」とか「ビッタビタ」といったワードがとても印象的でした。スケーターの方って本当にあんな感じで話すんでしょうか?(笑)

もちろん人ぞれぞれだと思うんですけど、新しい言葉みたいなのは出てきてみんな使いますね。「ビタビタ」とか「スケッチー」とかは僕もよく言ってますよ(笑)

———以前の取材でも話に出ていましたが、スケーターの人たちに感じるちょっとした「怖さ」のようなものも、今回の瀬尻さんの解説でどこか親しみに変わったというか。選手たちの活躍だけじゃなく、瀬尻さんの解説を通じて伝わったスケーターの人柄も非常に大きかったように感じます。

それはあると思います。(瀬尻)稜君は結構お店にもきてくれて個人的にも仲が良いんですけど、本当にあのまんまの性格で。謙虚でとてもいいスケーターなんです。

———オリンピックの話だけでも本当に尽きませんね!続いての質問なのですが、関さんがオリンピックの中で印象に残った選手・シーンを教えていただきたいです。

日本人はもちろんみんなすごかったですけど、それ以外でいうと(男子ストリート・アメリカ代表の)ナイジャ・ヒューストンですかね。彼は大体いつもココって時には決めてくるんですけど、やっぱりオリンピックという舞台で自分の本領を発揮できていなかったのは印象的でした。重圧もすごかったのかなと。
補足:ナイジャ・ヒューストンは世界ランキング1位のスケーター

———彼は試合後のインタビューでも「普段は観客からエネルギーをもらっている。ファンがいなかったのは本当に残念だった」というコメントを残してましたね。2本のランを終えた時点ではいい位置にいただけに、残念でした。

それも含めてオリンピックなんでしょうね。あと、女子でいうとやっぱりストリートの(西村)碧莉ちゃんは、怪我もあった中であそこまでの滑りを見せて本当にすごいと思いました。パークの日本人選手たちは、マニアックな話ではあるんですけど正直女子ではあまりやった人を見たことがない技を普通にやっていて、本当にレベルが高いなと。男子でもあのパークをあそこまで使いこなせる人は少ないんじゃないかなと思います。それくらい難しいコースでした。

———先程のストリート然り、パークとともにオリンピックは本当に難しいコースだったんですね。そんな中で、関さんが一番印象に残っているトリック(技)はなんでしょうか?

やっぱり堀米雄斗選手ですね。彼はノーリー(※)が得意なんですけど、そのノーリーでノーズ部分を270°回転させる「ノーリーバックサイド270ノーズスライド」という技をやって。相当難易度が高いトリックなんですが、それをメダルがかかった4本目というタイミングで決めてくるというのがすごいです。点数も9.5という大会最高得点でしたし、「これはもう優勝だな」と感じました。
※ノーリー:オーリーをノーズ(前足)側で行うトリック

———9.5という点数はやっぱりすごいスコアなんですね。

めちゃくちゃ高いですよ。キックフリップや、そこから手すりにというところまでは結構みんなできるんです。レベルが全体的に上ってきているから。でも堀米選手は、そんな中でもみんなが出来ないトリックを自分の強みで持っているのがデカいですよね。

———関さんのお話から改めて堀米雄斗選手の凄さを感じました。本当にすごい選手ですね。

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2021年8月公開

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