SPOALでは何度も紹介をしているが改めて角田裕毅選手の紹介をしよう。
2000年生まれの若干21歳。もともと、ホンダの育成ドライバーとして頭角を現し2018年にトロ・ロッソF1チーム(レッドブルの弟チーム)とホンダがタッグを組んだことによりレッドブル内でも日本人ドライバーの育成が始まりエンジンだけでなく、ドライバー育成も提携がスタート。その育成プログラムに選抜されたのが角田選手であった。提携育成プログラムの中でも順調に存在感を見せつけ、見事2021年のトロ・ロッソF1チーム(現アルファタウリF1チーム)のシートを獲得することとなる。もともと才能はあった為、トントン拍子でF1へステップアップしてきたドライバーだ。
しかし、そんな才能をもった若者でも「初めて」のプレッシャーには敵わない。角田選手の走りはお世辞にも良いとは言えない走りであった。Q1(予選一回目)でのミス&クラッシュ、なかなかQ3(予選三回目)に進めずチームメイトの先輩ピエール・ガスリーに勝つことができない。やはり初年度のF1は厳しい戦いであると見せつけられた前半戦であった。
タイムが出ない故、焦って攻めすぎレース中から警告がでることもあった。現在のF1はコースからはみ出しタイムに有利に働くコーナーなどがある。そのコーナーでは白線以内を走行しないと警告が出てしまう。警告を複数回受けてしまうとタイムペナルティーで5秒加算などのペナルティーが課されてしまう。もちろん上述の通り焦りからくるコーナーを攻めすぎた結果なのだが、逆に攻めすぎるとタイヤ摩耗も激しくなり良いタイムがでなくなってしまう。そして何よりも予選でのクラッシュでは以ての外。フランスGPではQ1でクラッシュをしてしまい最後尾スタートとなってしまった。幸いにもシーズン前半戦の決勝レースではリタイヤが1回のみと決勝レースでは慎重に走れている模様だ。
だが、特段目立った走りは見せていない。シーズン前にはレッドブル育成ドライバーの秘蔵っ子と各国のメディアでは騒がれていたがシーズンが始まるとメディアは「期待はずれ」など厳しい評価をするようになる。もちろん悪くはないドライバーだ。各国のメディアが持ち上げ、落とす。それはメディアの常套手段であろう。
しかしながら、良いニュースもある。前半戦最後のレース、ハンガリーGP。6台のリタイアが出てしまった大混乱のレース。こちらのレースで自身最高位となる6位入賞を果たす。決勝レースはウェットコンディション。レース開始後、優勝候補のレッドブル2台とメルセデス、マクラーレンの4台が絡む多重クラッシュが発生。原因はメルセデスのバロッテリ・ボッタス。スタートを失敗し後方に下がる中、ランド・ノリスの後ろに付ける。しかし、スタート開始直後の1コーナーでブレーキをかけるが止まることができない。ウェットコンディション且つ、スリップストリームが効いてしまっており、ブレーキも遅れた。この大事故を起こした原因となるボッタスは来季メルセデスに残留できるのかも現在話題沸騰中である。
そんな波乱の幕開けとなったハンガリーGPで角田選手は堅実な走りを見せ6位入賞。チームメイトのピエール・ガスリーにこそ勝つことはできなかったが、自身最高位を獲得。前半戦の最終レースをいい結果で終えることができた。
この結果をもとに上位入賞を獲得できるメンタルを少しでも得たのではないかと思われる。
前半戦最後のレースでP6!まだまだ改善すべきところがあるので後半戦に向けて準備していきます!
応援ありがとうございました! pic.twitter.com/ihfXJYn8CG— 角田裕毅/Yuki Tsunoda (@yukitsunoda07) August 2, 2021
後半シーズン初戦のベルギーGPは2週間後の8/29スタート。ベルギーGPは筆者の私が鈴鹿サーキットの次に好きなコース、スパ・フランコルシャン。ストレートが長く、そしてアップダウンが激しいコースで104mの高低差がある山に作られたコースである。鈴鹿と並びドライバーズサーキットと称されるコースである。オールージュという坂は20~30m以上を一気に駆け上がり直後にはブラインドコーナーとこのコースを象徴するコーナーがある。このコーナーでは下位カテゴリーでは死者も出しているコーナーでここをアクセルベタ踏みで駆け上がったその先のストレートがオーバーテイクポイントだ。勇気がなければアクセルベタ踏みでオールージュを制することはできない。私はこのコースを愛しすぎてゲームでは1000周はしただろう。コース中盤ではダウンヒルとなりスピードが乗りすぎてコーナーを曲がるのが難しくなる。そこを攻略できるとゲームでもアドレナリン全開。ゲームではクラッシュしても死なないが、レーサーは死と隣り合わせ。私以上にアドレナリンが出ているに違いない。
「勇気」ある角田裕毅選手がオールージュを駆け上がる姿が待ち遠しい。
2021年8月公開