6月上旬。
ジークスター東京のマネージャー高宮悠子さんに会うため、東京・大崎にあるジークスター東京のオフィスへ行きました。
SPOALでも取り上げたように、ジークスター東京の注目度は昨年以上という状態でした。かつてないほど湧いた日本ハンドボール界のオフシーズンと言っても過言ではありません。
強豪チームの大崎電気から日本代表のキャプテン、“レミたん”の愛称でみんなに親しまれる土井レミイ杏利選手、代表経験豊富な小室大地選手、そして小山哲也選手を獲得。これだけでもビッグニュースなのですが、さらに大同特殊鋼から日本代表のエース、東江雄斗選手を獲得しました。
昨年のリーグ参入初年度は、信太弘樹、東長濱秀希、甲斐昭人という日本代表経験者を持つ3選手を獲得し、11チーム中7位という成績でフィニッシュ。さらなる飛躍を期待される中でこの補強ですから、期待せずにはいられませんね。21-22シーズンへ向けた準備や、オリンピックへ向けたフォローなど忙しい中だったと思いますが、幸運にも時間をいただくことができました。
高宮さんとの時間の中で、ラバーブランド「buntaro®」、そしてスポーツ競技にも使える医療装具インソール『mysole』を説明したところ、非常に良い反応が。特に後者のインソールはチームの選手たちにかなり必要なのでは、とのことでした。
実際に数々のアスリートの足元を支えている実績とも相まって話は一気に進み、テストも兼ねて実際にジークスター東京の選手にインソール作成を体験してもらおうということに!!こうしたスピード感で物事を進めてくださるのも、高宮さんのステキなところです。感謝。
ということでまた後日改めてお伺いすることになりました
はじめての「処方」
そしてジークスター東京への再訪問の日。
こちらは『mysole』を処方するメンバー2名を加えた計3名での出陣です。
オフィスで私達を待ち構えていたのは…
なんと小室大地選手でした!
ジークスター東京に新加入した、国内屈指のポストプレーヤー。最初からいきなりの大物登場に、チームメンバーのテンションも実は結構上がっていました。
元々小室選手はインソールにあまり気を使っていなかったそうですが、チームが変わって練習場も変わったタイミングで、よりその場に適した動きをするためにインソールの導入を検討していたのだそう。特に大崎電気との練習環境の違いは、ランニング。今までは外に陸上用のトラックがあったのでそこで走ることが出来たのですが、ジークスター東京の練習場は体育館なので中でのランがメイン。そのため、体育館の床での切り返しに耐えうるギアが必要になっていたのです。
ちょうどそんな悩みを抱えていた頃に私達がアタックしたことで、今日の場が実現したのでした。やっぱりタイミングって大切ですね。
今回は『mysole』の処方資格を持ち、数々のアスリートのインソールを作成してきたスペシャリストの芋川が小室さんを担当します。日頃の歩行から練習時の足使い、これまでの怪我の履歴など気になる点をとにかく洗い出してはカルテに記録していきます。ここで収集する情報は非常に大切なもので、この後に行う分析結果と照合することでより精度の高い動作改善を実現することができるのです。
芋川によるカウンセリングが終わり、作成するインソールの方向性が見えてきたようです。続いては、実際に高性能側圧計を使って足底圧検査を行います。ここで体の歪みや歩行状態を分析し、先程のヒアリング内容と合わせて動作カウンセリングにうつります。
直立姿勢で足圧をチェック
歩行時で足圧もチェック
「はい、OKです」
診断を終えた芋川は、そう言ってバッグから小さなゴムのパーツを取り出しました。それを手際よく小室選手の足裏に貼っていきます。これは特殊ラバーで作られたパッドで、実際に足に貼った場所に合わせてインソールの中に搭載するもの。今回のヒアリングと動作解析を経て、足裏の適性ポジションへ合わせて、再度小室選手に同じ動きをしてもらうのです。
「うわ、さっきとぜんぜん違う!」
やった!小室さんもその変化に驚いています。
写真だと伝わらないかもしれませんが、小指にかかりやすかった荷重がしっかり分散されて親指にもかかるようになっています。これによって足の負担も軽減され、正しい歩行・正しい動作が実現できるようになるというのが『mysole』理論なのです。
「よし、これでいきましょう。絶対良くなります、これで!」
最後にパッドの位置を微修正し、芋川から完全に成功のコミットが出ました。ここまで言い切る自信は、これまで数々のアスリートの処方を手掛けてきた芋川ならでは。
さて、いよいよ最後は足型の作成です。
ジークスター東京待望のポストプレーヤー、その足元をしっかり支えるインソールは無事出来上がるのでしょうか。
2021年7月公開