やはり強かったメルセデスそれを追うレッドブル
2020年シーズンの前評判はメルセデス一強の噂も出ておりました。案の定メルセデスが全17戦中、13戦を優勝するという圧倒的強さを見せつけたシーズンでした。レッドブルが2勝、アルファタウリとレーシングポイントがそれぞれ1勝。我らが日の丸HONDAエンジンを積んだレッドブルとアルファタウリで合計3勝をあげることができました。
来年でF1から離れてしまうHONDAですが、今年はメルセデスエンジンに健闘したほうではないかと思われます。というのもコロナ渦中でエンジン開発もマシン開発もすべてストップしてしまう状況でした。その中での3勝は非常に価値があるものでレッドブルという一流チームからエンジンは合格点のお墨付きを頂いたのではないかと思います。
まだまだメルセデスエンジンとの差は多少なりともあるものの、フェラーリエンジン、ルノーエンジンをすでに追い抜いているのかなと思われます。一説にはレッドブルのマシン開発が遅れリア側の気流が非常にナーバスとなっておりマシン制御が非常に難しいとも噂されておりました。案の定、レッドブルのファーストドライバーであるマックス・フェルスタッペンはテクニックもありますので、その難しい制御のマシンに自慢のテクニックでねじ込んできたように思えます。しかし、セカンドドライバーのアレクサンダー・アルボンはマシン適応に苦戦しシーズンを6位という形で終わってしまいました。
そのアレクサンダー・アルボンですがレッドブルのシートを追われてしまいます。レッドブルは非常に残酷なチームでもありシーズン途中でもうだつがあがらないドライバーは変更してしまうという恐ろしいチームです。幸いにもシーズン途中で交代をされることはなかったのですが、総合順位6位という形で強さを見せつけることができずシーズン終了後に死の宣告を受けることとなりました。
一昨年に見せたアレクサンダー・アルボンの安定感に私は非常に興味を持ち、密かに2020年は応援していたドライバーの一人でもあります。そしてなによりもアジアで唯一のドライバー。親日国のタイ出身ということもあり日本人からしてみても親近感湧くドライバーの一人でした。アジア人ドライバーがいなくなってしまう…そんな矢先に発表されたのはアルファタウリから角田裕毅が参戦。日本人ドライバーがなんと7年ぶりに誕生というニュースが駆け巡りました。
2021年シーズンは日本人ドライバーが乗るということでF1人気もここ日本で多少なりとも上がって欲しいものです。角田裕毅に関しては後々の記事で紹介ができればと思います。
フェラーリの弱体化
2020年に目立ったこと。それはフェラーリの凋落です。2019年シーズンにフェラーリは2勝をあげるものの、いろいろと不正をしていたようでございます。不正を疑われ、おおっぴらに不正をしながら走ることができなくなってしまい、2020年は散々たる結果でした。
F1はレギュレーションという全チームが守るべき規則というものがございます。例えば、車体の長さ、車幅、車重、エンジンの排気量etc…
2019年にフェラーリが行っていた不正ですが、
・エンジンオイルをたくさん燃焼させパワー出力をあげていた
・アクセルOFF時の排気パワーを利用
・バッテリー出力をあげていた
・DRSの開口規定
上記の4つ。一つ一つ説明していきましょう。
エンジンオイルの燃焼規定ですが、F1では明確に燃やしていいエンジンオイルは100km毎に600mlまでと規定されております。ガソリンだけでなくオイルもガソリンに混ぜて燃やすことによりエンジン出力があがります。そのエンジンオイルを規定量超えて燃やしパワーをあげていたという不正が疑われていました。
アクセルOFF時の排気パワーについてですが、アクセルOFF時でも排気ガスをリア側に流すことでダウンフォースを得る、OFFスロットルブローイングという技術があります。そちらはアクセルを踏まないコーナーでも追加のダウンフォースを得るという非常に強力な武器なのですが、F1では禁止されております。ダウンフォースとは車体を下側に押し付ける力のことを言い、この力が強ければ強いほどマシンの曲がる性能が高まることとなります。コーナー入り口ではアクセルOFFにする為、アクセルOFF時でも排気ガスが後ろに流れダウンフォースを追加で得る。つまりは非常に曲がりやすくなる=コーナーに強い車体となります。そんな禁止されていた技術をフェラーリは使用を疑われておりました。
ダウンフォースとは空気抵抗を高くして下に押さえつける力
バッテリー出力についてですが、現代のF1はハイブリッド。熱回生システムというものを使用し熱を電気に変えバッテリーに貯蔵し、バッテリーが保つ限りブーストをしても良いというルールになっております。ブーストとは、ハンドルにボタンがありそのボタンを押すとマシンが早くなるというものです。出力自体は規定で決まっているのですがその出力を超えてブーストをしていたという噂がありました。
DRSについてですが、現代F1はリアウイングがパカパカと開いたり閉じたりするウイングを使用しております。これは追い抜きが少ないF1を面白くする為に設けられた規定であり、ウイングを閉じればダウンフォースが多くなり、ウイングを開ければダウンフォースが少なくなります。先程も説明した通りダウンフォースというものはカーブでは曲がる為に必要な力であるものの、ストレートでは邪魔な力となります。ストレートスピードを上げる為には可能な限り気流を落ち着かせ空気を後ろに流してあげることが必要です。気流を可変することができるシステムをDRSと呼び、そのDRSの既定値を超えて気流の流れをスムーズにしていたという不正が疑われていました。
DRSをONにすると空気抵抗が少なくなる
そんな不正を疑われたフェラーリですが、2019年途中で不正が囁き始められてしまい不正を隠すように使用しなくなってしまうと大失速。2020年シーズンは見るも無残な結果に。本来でれば罰金と全ポイント剥奪という重い処分になるのですが、さすがそこはフェラーリ。他のチームと政治力が違います。なんと、FIA(F1を統括する機関)と協議をした結果、FIAは「不正を見つけることはできなかった」と声明を出します。
何かしら「忖度」が働いたのでしょう。しかし協議の裏側ではいままでの不正は使用しない取り決めとなったのだと思います。だから2020年シーズンは非常に遅かった… 過去最低の結果と言っていいほどに。
そんなフェラーリは来年どうなるでしょうか?フェラーリが遅いF1は面白みにも欠けますので早く復活して欲しいと思っています。
2021年1月公開