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それぞれの2020 高須編

皆さんは一年前の明日、つまり2020年の元旦のことを覚えていますか? 僕はハッキリと覚えています。

この日、僕は天皇杯決勝の取材で新国立競技場へ向かいました。東京は雲ひとつない晴天で真っ青な空でした。正直に告白するならば、もともと東京で五輪を開催することには否定的にとらえていた僕でさえも、この夏に予定されているスポーツの祭典のことを思うと、胸が熱くなり本当に清々しい気持ちになりました。あのとき、今の世界を誰が予想していたでしょうか。

誰もが何かしらの変化や我慢を強いられる年だったと思います。個人的には辛い時期もありました。イベントが軒並み中止に追い込まれ撮影にでかけることもできず、アマゾンプライムビデオとハイボールに溺れる日々。しかし、そんな生活がいつまでも続けられるはずもなく、気がつくと日の出とともに目覚めジョギングを始めるようになりました。早朝から身体を動かすことで得られたものは「考える時間」でした。

コロナがもたらしたものは何なのか。僕の答えは「価値観の転換」と「いつかは今だ」ということです。価値観は本来であれば10年単位で徐々に変化していくものですが、コロナの影響で一気に変わった、変わらざるを得なかったと思います。

もともと今まで通りの生活が10年後も続けられているとは思っていませんでした。いつか変わらねばいけなかったのですが、見て見ぬふりをしていました。現実を直視するのが怖かったのかもしれません。しかし、コロナによっていつまでも逃げ回っているわけにはいかなくなりました。

今年、僕は新しいことをいくつか始めました。それを助けてくれたのは「SPOAL」の存在です。「伝えたいを書く」という志の下に集まった仲間たちは心強かったです。

もともとライター志望だった僕は自らの才能のなさに早々に見切りをつけて、カメラマンの道を進みました。しかし、心の中では「いつかは書きたい」という思いはあったのですが、日々の忙しさを理由に逃げてばかりで、その「いつか」が来ることはありませんでした。しかし、鬼の二宮編集長から「書け!」と厳命をうけて、、、嘘です。「タカスくんのアツい思いをぶつけてくれればいいから」と優しく導いてくださったおかげで、拙いながらも「はじめての海外取材記」「セパタクロー熱中時代」「なるフォト! THEワールド」を執筆することができました。

そして、SPOALの取材を通してオフィシャルカメラマンとして関わることになったジークスター東京との出会いも大きな経験です。これまで特定のチームをシーズン通して追いかけたことがなかったので、アップダウンを繰り返すチーム状況や選手たちの表情から読み取れる心理状況、「勝ちたい」と切望するアスリートの純粋な情熱など、今までにない視点を持つことができました。

またスポーツ写真のオンラインサロンを開設しました。純粋にスポーツ写真を楽しみたい方、プロを目指している若い世代など、これまではなかなか知り合うことがなかった方々と知り合うことができました。それまで感覚的に撮っていた写真ですが、それを伝えるために言語化する作業はこれまでの自分を振り返る良い機会になり、そのことで新しい発見をすることもできました。

こうして1年を振り返ってみると失ったものもあるけれど、新しく得られたものも多く実りある1年でした。来年がどんな年になるのかはまだ分かりませんがどんなときも挑戦の心を忘れずに挑んでいこうと思います。

2020年12月公開

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二宮寿朗

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渋谷淳

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2022年のスポーツを振り返るディスカッション企画の第3回のメインテーマはボクシング。SPOALの二宮寿朗と渋谷淳だけでなく、ゲストの山口大介さんも大のボクシング好きだけに思い入れは深い。2022年はボクシングも熱かった!

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高須力

日本経済新聞社の山口大介さんを招き、SPOALの二宮寿朗編集長、渋谷淳、カメラマンの近藤俊哉も交えての座談会は今回が第2回。第1回に引き続いてサッカーワールドカップを語り尽くします!

渋谷淳

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高須力

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SPOAL編集長

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二宮寿朗

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二宮寿朗

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二宮寿朗

SPOAL編集長

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