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Amateur F1 Review VOL.6

2007年にF1デビューをしたルイス・ハミルトン。一体、彼はどんな人物なのか?ドライバーとしての才能を開花させたのはいつなのか?今回はそんなルイス・ハミルトンの人物像に迫っていきます。

あのチームメイトとの確執!?

ルイス・ハミルトンは2007年にいきなりトップチームであるマクラーレンからF1デビューをします。F1デビューがマクラーレンとはスター街道まっしぐら。そんなルイス・ハミルトンは幼い頃にお父さんからラジコンカーを買い与えられラジコン大会で優勝をすると、お父さんはレースの才能があるのではないか?と思い立ち、レーシングカートの世界に8歳で飛び込んだのです。

そんなルイス・ハミルトンは10歳でイギリスのカートチャンピオンとなり、スターの片鱗を見せ始めたのです。カートの授賞式に来ていたマクラーレンのチーム代表であるロン・デニスの目にかかり、なんと13歳でマクラーレンと契約することとなりました。マクラーレンの全面バックアップもありジュニアフォーミュラ、F3、GP2とF1の下位カテゴリーのタイトルを総ナメ。ついに2007年にF1デビューが決まったのです。

2007年のチームメイトはなんとフェルナンド・アロンソ。当時のフェルナンド・アロンソは2005年、2006年と総合チャンピオンを獲得するほどの強者。

2回の総合チャンピオンとF1新入生。F1界はこの二人を大いに注目。マクラーレンの秘蔵っ子であるルイス・ハミルトンが、チャンピオンであるフェルナンド・アロンソを打ち負かすことができるのか?いろいろなメディアが煽り立てていました。チーム代表のロン・デニスはルイス・ハミルトンが大のお気に入り。そんな代表に嫌気が差したアロンソはある行動にでます。

2007年ハンガリーGPの予選での出来事。予選暫定首位のハミルトンに対し、暫定2位のアロンソ。予選終了の時間が刻々と迫る中、アロンソはハミルトンを妨害するという暴挙にでます。F1新入生のハミルトンに対し、チャンピオンであるアロンソが妨害を行うなどとはチャンピオンらしからぬ行為。アロンソはハミルトンへの妨害が成功し、終了間際のスーパーラップによって予選1位(後にペナルティー)を獲得したのでした。ハミルトンとアロンソの確執が表面化した瞬間です。

結局、2007年シーズンはF1新入生の速さが光り、ハミルトンがアロンソを打ち負かし総合2位でシーズンを終えるのでした。

移籍先のメルセデスでまたしても確執!?

メルセデスがエンジンだけでなくシャシーも製作し参戦するフルワークス体制となった3年目の2013年にルイス・ハミルトンはメルセデスに移籍をします。当時のメルセデスはそこまで速いとは言えずハミルトンの移籍には賛否両論がありました。

マクラーレンよりも遅いと思われるメルセデスに移籍をするなんて馬鹿げている。大半のメディアはそうハミルトンを捲し立てます。ですが、VOL5にも書きましたがチャンピオンになる為には「速いマシン」と「運」が必要となります。ハミルトンは恐らくここで人生最大の「運」を使ったのでしょう。メルセデスに乗る為の「運」を。

2013年のチームメイトはニコ・ロズベルグ。昔のチャンピオンであるケケ・ロズベルグの息子です。2013年のメルセデスのマシンは速さが無く、ハミルトン自身も学びのシーズンであると言っていたように初年度からは結果がでませんでした。

2014年からターボエンジンが復活しシーズン開催前のテスト走行で圧倒的な速さを見せつけるメルセデス。ハミルトンの「運」が開花した瞬間でした。2014年シーズンはメルセデスの圧倒的な速さでハミルトンが総合優勝を勝ち取ります。その裏で親友であったチームメイトのロズベルグとの間に亀裂が入る出来事が。2014年こそハミルトンがチャンピオンを獲得するも、ロズベルグも同じ速いマシンに乗りチャンピオンを虎視眈々と狙います。

F1ドライバーはエゴの塊。そのエゴがぶつかればコース上で様々なことが起きてしまいます。

二人の仲が決定的に引き裂かれたのは2016年スペインGP。スタートで首位に立ったロズベルグ。2位にはハミルトン。二人の差はほんの数メートル。ハミルトンはぴったりとロズベルグの後ろでスリップストリームを効かせていました。5コーナーの立ち上がりでハミルトンが仕掛けます。ロズベルグは抜かせまいとハミルトンに幅寄せを行います。結果、ハミルトンは幅寄せから逃げる為にコース外に脱落してしまいスピン。スピンしたままロズベルグに接触。メルセデスの同士打ちで二人ともレースは終了してしまいます。

F1のルール上、幅寄せをするにしても相手側が必ずコース内に留まることができるように車体1体分の車幅を空けなければなりません。これは安全の為でもあります。ですが、ロズベルグがやった行為は車幅を空けないという暴挙。絶対に抜かせたくないというエゴが招いた結果でした。

同士打ちは続きます。2016年のオーストリアGP。レースも残すところあと1週。ドラマは最終週に起きました。激しいバトルをチームメイト同士でやりあっていましたがついにラストラップで1位のロズベルグを2位のハミルトンが捉えます。スリップストリームに入ってロズベルグを抜かせるか!?そのまま2台同時にコーナーに差し掛かりインにはロズベルグ。アウトにはハミルトン。両者並んでコーナーを曲がろうとした瞬間、二人は接触。イン側にいたロズベルグがハンドルを切らず、わざとハミルトンに接触をするというなんとも恐ろしい行動に出たのでした。何度動画を見返してもロズベルグがハンドルを切るのを遅らせ、わざとぶつかりにいっているのが確認できます。

ロズベルグを悪く書いてしまっていますが、本人から言わせればレーシングアクシデントと言うでしょう。チャンピオンを取る為に自分のエゴを優先させなければチャンピオンは取れないのですから。

チームメイトに恵まれない時もあったハミルトンですが、なんだかんだ言って現役最強のドライバーです。最強ドライバーに「妨害」「ぶつける」などの悪さをしなければ勝てないとチームメイトは思ってしまうのでしょう。そしてそれを実行してしまうというエゴ。

日本人は譲り合いの精神。

俺が!俺が勝つ!!という日本人レーサーが出てきて欲しいものです。

終わり

2020年11月公開

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