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しぶさんぽシーズン5 VOL.3

ボウリングの発祥は横浜? 長崎? 東京?

しぶさんぽ「横浜編」は山手をスタートし、関内を抜けて東京湾が一望できる大さん橋へ。次なる目的地へ向かうべく、私と近藤カメラマンは山下公園を歩いた。公園を抜けて首都高速神奈川3号狩場線をくぐると港の見える丘公園の入り口に。横浜ボウリング発祥の碑はその片隅でひっそりと私たちを待っていた。

横浜ボウリング発祥の碑、日本で2番手だ!

 

さすが横浜、ボウリングも発祥!と早合点することなかれ。実はボウリングが最初に行われたのは長崎で、その3年後の1864年に横浜のこの地にボウリング場ができたというのだ。石碑にその事実を素直に書いているところが潔くていい。2番手にもかかわらず発祥の石碑を建ててしまうのは、それだけハマッ子が発祥好きということなのだろうか。

ちなみにボウリング発祥の碑は、長崎はもとより、未確認情報ながら東京、神戸、名古屋にもあるとか。調べて見ると東京の記念碑は北青山の秩父宮ラグビー場の隣にある「TEPIA」(一般財団法人高度技術社会推進協会)の一角にあるらしい。どうやら1952年(昭和27年)に開業した東京ボウリングセンターがここにあったということで発祥の碑が建立されたようだ。

それにしてもこれだけ全国各地に碑が立つというのは、ボウラーたちの“発祥熱”がそれだけ熱いということだろう。久しぶりにボウリングがしたい気分になってきた。

散歩のクライマックス、中華街に入る

 

続いては最後の目的地、中華街へと足を進めた。横浜ボウリング発祥の碑から歩いて10分弱。中華街をうろうろしながらたどりついたのが山下町公園だ。確かここにラグビー発祥の記念碑があるはずだが……。ありました! その名も「日本で最初のフットボール(ラグビー)発祥地 横浜」記念碑が。

ラグビーワールドカップでも横浜が活躍

この記念碑は新しい。除幕式が行われたのが2019年の9月5日。そう、日本で開催されたラグビーワールドカップが開幕する直前のことなのである。あれ、ラグビー発祥といえば慶応大じゃないの?と思った人もいるかもしれない。以下、専門誌ラグビーマガジンのウェブサイトから転用して説明したい。

除幕式にはVIPが多数訪れたラグビーの碑

 

日本ラグビーの発祥には諸説あるが、有名なのは、1899年に慶應大の英語講師E・Bクラーク氏が学生たちに教えた、という事始め。今回(横浜に)記念碑が建てられたのは、それよりも前に、外国人によってラグビーがプレーされていたことを記すものだ。

発見のきっかけは、「横浜フットボールクラブ」の後継団体YC&ACのメンバー、マイク・ガルブレイスさんが、まげを結った日本人の前で英国人がラグビーをするイラストが掲載された雑誌「ザ・グラフィック」(1874年4月18日号)を入手したこと。

この光景は1873年(クラークさんのラグビー指南の26年前)に横浜で行われたラグビーの模様だった。

歴史を調べていくと、横浜に駐屯していた英国兵らが1866年(慶応2年)に設立した「横浜フットボールクラブ」が、アジア初のラグビークラブだといえることが分かった。

2015年には英国の世界ラグビー博物館にこの史実が認定され、これを受けて神奈川県ラグビー協会の長井勉さんが記念碑設置の活動を始めた。設置には多くの人の浄財が寄せられた。

ということのようだ。

記念碑は公園の隅のスペースにかなり無理して設置した印象ながら、除幕式には神奈川県の黒岩祐治知事、横浜市の林文子市長らが出席。これだけのVIPが顔をそろえたのは、横浜国際総合競技場(日産スタジアム)でワールドカップの決勝、準決勝を含む計7試合が行われる予定だったからだろう。

このうち予選リーグの黄金カード、イングランドvs.フランスは台風で中止になったが、神奈川県・横浜市大会開催記録集によると、6試合で総員した観客は40万人を超え。メディア露出は広告価格換算額にして359億円をマークしたというからすごい。スポーツ発祥の地、横浜の面目躍如といったところだろうか。

酒席を探して中華街を歩く

 

さあ、これでしぶさんぽ横浜編は終了。私とカメラマンは山下町公園のベンチに座ってぐったり。スマホの歩数計に記録された数字はなんと1万9632歩! 坂道も多かったからこれはなかなかの数字ではないだろうか。前回のしぶさんぽseason4は1万5468歩。あのときもけっこう疲れたから、今回の運動量は正直こたえた。

それではせっかく中華街まで来たので―。

しばし山下町公園のベンチで休んでいると、「マネジャーのお仕事」でお世話になったコモンズ2の大徳義幸マネジャーが合流。店に入ったころには二宮寿朗編集長も駆けつけてくれた。

スポーツの歴史をずっしり感じながら、額に汗して靴底をすり減らして街を歩く。その暁にはうまいビール、おいしい料理、仲間との楽しいトーク。これぞスポーツの醍醐味。さて、次のしぶさんぽはどこにしよう? 心地よく疲れた頭でぼんやり考えながら家路についた。

你好!おいしかった!

 

しぶさんぽseason5 終

2020年10月掲載

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