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Amateur F1 Review VOL.2

首都ブタペスト。ドナウ川沿いにそびえる国会議事堂はヨーロッパ屈指の美しい建造物です。そんな美しい街から北西に10kmほどの場所に第三戦が行われるハンガロリンクがあります。首都からのアクセスも素晴らしいでしょうね。
鈴鹿サーキットなどは名古屋から電車で1時間ほど特急電車を乗って最寄り駅からバスを20分程乗らないとサーキット場までたどり着けません。決してアクセスが良いとは言えません。日本も都心に近いサーキット場を作って欲しいものです。

レッドブルマジック炸裂

フリー走行・予選とあいにくの雨が続くハンガリーGP。決勝が行われる日曜日も雲が多くいつ雨が降ってもおかしくない状況です。決勝レースのスタート前にも多少の雨が降りコース上はところどころ濡れていました。雨が途中で降ってきて決勝レースは荒れるだろうなと予想をしていたのですが、スタート前に思わぬ展開が。

スターティンググリッドに着く為、各車はピットから1週してスターティンググリッドに並びます。その後、1週のフォーメーションラップを挟み、レーススタートとなるのですがそこであるドラマが起きました。

スターティンググリッドに着く為に走行をしていたレッドブルのフェルスタッペンがなんと水たまりにタイヤを取られスピン。ウォール(壁・ガードレール)に左フロントをヒットしてしまいます。左ブレーキを壊してしまったフェルスタッペンは無線でチームに謝罪します。レースができないかも知れない。そんなことを思っていたと思います。しかし、百戦錬磨のチームは諦めませんでした。なんとかスターティンググリッドに戻ったフェルスタッペンの車をグリッド上で修理し始めます。

スタート前までに修理することができるのか?全世界のF1ファンが注目した瞬間でした。

国歌斉唱も終わり、スタートまで数分しか残されていません。チームのエンジニアは必死に修理をします。スタートまで残り1分、30秒、20秒…
刻々と時間は過ぎていき、ついにスタート10数秒前で修理が完了します。

エンジニアはスタート前にドラマを起こしたのです。タイヤ交換のスピードに定評のあるレッドブルですが、修理スピードでもレッドブルマジックを見せつけてくれたのです。

メルセデスの一強時代はいつまで続く?

諦めなかったエンジニアに対し、自分自身を鼓舞するかのようにジャンプスタートを決めるフェルスタッペン。7位スタートから一気に3位に浮上。とこどころ濡れていたコースは徐々に乾きはじめ、5週までに各車は一斉にドライタイヤを変更しました。ピット戦略もありフェルスタッペンはランス・ストロールを抜かしレース序盤で2位に躍り出ます。

ポールスタートのハミルトンは、順当なスタートで7週を終えた時点で2位のフェルスタッペンを11秒も引き離してしまいます。1週で1秒以上の差が生まれているのですがF1で1秒というのは非常に大きな差です。たった「0.1秒」を削る為に数億円の予算をつぎ込んでマシン開発を行うのですが、「1秒」という壁がどれだけ大きいのかがお分かりになるかと思います。単純に10倍の予算を掛けないとメルセデスに太刀打ちができないのです。

それだけ、まだまだメルセデスとレッドブルには大きな差があるということを認識できたレースでもありました。蓋を開けてしまえば、メルセデス独走という結果に去年と変わらない展開が今後も続いてしまうことに私は退屈さを感じてしまいました。しかし、中団勢の躍進は素晴らしくF1 2020年シーズンは中団勢にフォーカスがあてられるシーズンになっていくのではないかと思われます。

話題の中心は『ピンク』メルセデス

前話でも言及しましたが、今F1界で話題となっているのがピンクメルセデスこと、レーシングポイントです。レーシングポイントがメルセデスの車体を丸々コピーしているのではないか?と議論されております。レーシングポイントのチームカラーがピンクなので、メルセデスの車体をピンクのカラーリングにしただけということで『ピンク』メルセデスと揶揄されているのです。

F1のレギュレーション(競技規則)には、チームが設計と制作することが義務付けられているのですが、一部のパーツは他チームから購入することができます。(エンジンなど)しかし、規定外のパーツについては購入することができません。きちんと開発を行いなさいというのが競技規則で定められております。

レーシングポイントはそれに違反しているという程、昨年のメルセデスのマシンに酷似しております。第三戦ハンガリーGPが始まる前にルノーが酷似していることをFIAに抗議。FIAも調査に乗り出すというニュースが駆け巡りました。

真似をするのはいいのです。F1は模倣の歴史を辿ってきました。とあるチームの技術が凄くものすごく速く走れる。といったら一斉にその技術を独自で模倣して自分のチームに導入してきたというのがF1の歴史です。独自開発で模倣するだけならば問題はないのですがあまりにも似すぎてしまっている結果、設計書がメルセデスからレーシングポイントに横流しされているのではないか?ということが今回の焦点となっております。

調査の結果次第では、レギュレーションに違反したとしてレーシングポイントのこれまでの獲得ポイント剥奪などがあり得るかと思います。まさに全世界が注目するコピーマシンの行方から目が離せません。

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2020年8月掲載

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