信太選手がスニーカーに興味を持ったきっかけとは
結構昔のモデルも出てきましたが、信太選手はいつごろからスニーカーに興味を持って買うようになったんですか?
信太:「まだ2年くらいですね。最初はYeezy(adidasのモデル)を買いました」
宅万:「Yeezyは本当に履きやすいですもんね」
信太:「はい、すごく履きやすかったです。ちょうどadidasが所属チーム(大崎電気)のメインスポンサーだったこともあって、先輩で履いている人がいました。それでちょっといいなって思ったのがきっかけですね」
ちょうどその頃Yeezyはとても流行ってましたよね。最初はadidasだった中、そこから初めて買ったNIKEのスニーカーってなんですか?
信太:「エアフォースワン(AIR FORCE1)ですね。今も好きでよく履いてます。こんな流れなのでこれまであまりハイカットは履かなくて手を出してこなかったんですけど、見た目はやっぱり(ハイカットは)カッコいいと思います。」
確かにローカットは履きやすいですが、ハイカットは存在感が大きいので見た目も強調しやすいですよね。今日は冒頭からハイカットの王道であるエア・ジョーダン1の話で始まりましたが、宅万さんにその魅力を聞いてみましょう。
宅万:「これが1985年に出て、これだけずっと続いてるってことはデザインが完成されているんだと思っています。それが唯一無二のポイントなんだろうなと」
信太:「やっぱり次はエア・ジョーダン1買いたいと思ってます。宅万さん、何かオススメってありますか?」
宅万先生がオススメする、エア・ジョーダン1
宅万:「買うとなると値段も高くなっちゃうからオススメと言っていいのかな(笑) そんな中でも良ければ、一番オススメしたいのはコレですね」
なんだこのモデルは!
宅万:「リーク情報で見たときから悶絶していました(笑) これは、UNION LAというブランドとジョーダンのコラボモデル「UNION × NIKE AIR JORDAN1 HIGH」ですね。人気のつま黒カラー(つま先が黒でヒールが赤のモデル)を下に使って、上はまだ一回も復刻されていない白×グレーを使っています。さっきのHOMAGE TO HOMEは縦組みでしたが、こっちは横組みのデザインなんです」
信太選手、せっかくなのでお手にとってみては?
信太:「えっ、いいんですか!?」
宅万:「是非是非!」
信太:「(手に取って眺めながら)これ僕初めて見たんですけど、めちゃくちゃカッコいいです。でも欲しいと思っても、やっぱり今から手に入れるのは大変なんですよね(笑)」
宅万:「これはちょっと大変かもですね。今だと10万は超えちゃいます(笑)」
高い!でもそれだけ価値のあるモデルですよね。ちなみにもう少し現実味のある範囲でのオススメもあったら教えていただけますか?
宅万:「そしたらもう、SHADOW(黒×グレー)しかないでしょう!」
信太:「これもカッコいいですね。僕黒系のスニーカー好きなので」
宅万:「最後に復刻されたときは数も多かったので、(さっきのUNIONよりは)買いやすい値段だと思います。色も絶対に合わせやすいですしね!」
これは少しフォーマルにも合わせられそうでいいですね!そういえば、信太選手は好きな色はなんですか?宅万さんのコレクションにはたくさんの色があるので、もしかしたら見つかるかもしれませんよ!
信太:「僕は黒×白の組み合わせ、あとはオレンジや赤も好きですね」
宅万:「オレンジだったら、こんなモデルもおすすめですよ」
オレンジ色のオススメモデル!(後ろはさっきのSHADOW)
信太:「これもやっぱり(値段が)ヤバいやつですか?」
(一同爆笑)
宅万:「これは、”SHATTERED BACKBOARD”というモデルで、ジョーダンがイタリアへ遠征しに行ったときの相手だったイタリアチームのユニフォームカラーがオレンジだったのが由来です。その試合でジョーダンがダンクしたらバックボードが粉々になっちゃった、というストーリーがモデル名に落とし込まれているんですね」
信太:「モデルひとつにも、そういうストーリーがちゃんとあるんですね。全然知らなかったので、聞いててめちゃくちゃ面白いです」
スニーカーの魅力をつくる、ストーリー
宅万:「ストーリーも魅力のひとつですよね。実はさっき紹介した”UNION × AIR JORDAN1”にも面白い話があるんですよ」
信太:「そうなんですか!是非教えてください」
宅万:「ショーン・ウェザースプーンっていう、自分でもエアマックスをデザインして発売しているNIKEの熱狂的なヴィンテージマニアの人がいるんです。その人って、普通にフリーマッケットに出没してスニーカー漁ってるんですよね。で、彼があるフリーマケットにでかけた時、そこにいきなりこの”UNION × AIR JORDAN1”が置いてあったんです」
ショーンはスニーカー界でも超有名人ですよね。それは発売前の出来事なんですか?
宅万:「そうそう。なのでショーンも当然知らなくて。最初はジーッと見てたんだけど、『これ偽物じゃん』みたいな感じで戻しちゃったんですよ。でも実はNIKEがちゃんと作ったもので、正式発売前にこっそりと売っていたんです。だから買おうと思えば買えたんですよね」
ショーンですら見逃しちゃったんですね(笑)
宅万:「カスタムしたようなデザインだし、正式情報もまだ出てなかったですからね。でも、そのフリマの様子は隠し撮りされていたのがまた面白くて、普通にショーンがやってきて『これフェイク(偽物)?』って店員さんに聞いてあっさり帰っていくっていう(笑)」
こうしてストーリーを聞くとまた魅力を感じてそのモデルが欲しくなっちゃいますね。単にデザインだけじゃなくて、その背景にあることまで知れるってすごく素敵なことだと思います。
信太:「本当にそうですね。色んなデザインが見れて楽しいですけど、こうやってモデルそれぞれの話を聞くことができて、もっとスニーカーが面白くなりました」
どうやら、先生と生徒の相性はバッチリだったようだ。
160足以上もスニーカーがある夢のような空間では、気になったものはすぐ目の前に出てくるし、それを実際に手にとることができる。そして、その魅力をたっぷりと教えてくれる先生がいる。視覚・触覚・聴覚をめいっぱい使ったこの授業を、信太選手も楽しんでいるように見える。
そもそもNIKEやadidasだって、一般的にはスポーツブランドというカテゴリでくくられることが多い。エア・ジョーダン1だって、NBAのスタープレーヤーであるマイケル・ジョーダンのシグネイチャーモデルである。
信太選手がチームの先輩がきっかけでスニーカーを好きになり、そこから自分で少しずつ買うようになったのもそう、それくらいスポーツとスニーカーは密接な関係なのだ。
昨今盛り上がりを極めるスニーカーブームによって、もっと多くのアスリートがスニーカーを好きになり、もっと多くのスニーカー好きがスポーツを好きになるといいなと、この写真を見て願わずにはいわれない。
信太選手が語るアスリートのスニーカー事情。そして宅万先生の成り上がりストーリー。まだまだ盛りだくさんの科目で、授業は続いてゆく。
2020年4月掲載